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カイザーバード水門監視所 ( 1/2 )
Kaiserbad Watergate
ウィーン、オットー ヴァーグナー、1907年
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ドナウ運河の水門の建屋

カイザーバード水門監視所(ドナウ運河水門監視所)とは、ウィーン市内を流れるドナウ運河の水門に設けられた付属建屋です。水門自体は1945年に戦争で破壊されたらしく、戦後も水門は再建されずに監視所は機能を失います。
 
筆者が2001年に訪れたときは閉まっていて、特に何かに使われている様子はうかがえませんでしたが、その後、レストランに再生されて2011年5月から営業を始めたとのことです。

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土木も手掛けていたヴァーグナー

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設計したのはウィーン建築界の中心人物であるオットー ヴァーグナー。彼は マジョリカ ハウス郵便貯金局のように華やかで先進的な建築を設計する一方、橋梁や水門といった土木施設の設計も手掛けています。
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抽象的なデザイン

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三層構成や左右対称の立面には歴史様式の手法が残っているものの、表層のデザインは当時としては驚くほど斬新です。
 
下部は花崗岩、中間は大理石で上部はタイル貼り。青地に白いジグザグ模様はドナウ川を表現しています。マジョリカ ハウスやカールスプラッツ駅(どちらも1899年)で壁面に有機的な花の模様を描いたヴァーグナーは、この水門監視所(1907年)でここまで抽象化されたデザインに至りました。
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【05】

石材パネルを固定する鋲

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外壁のディテールは郵便貯金局と同じ、すなわち石材パネルを固定するアルミ製の鋲を意図的に目立たせることで、装飾の表層性を強調しています。郵便貯金局ほどは鋲がクドくなくて、私としてはこれくらいが適当ではないかと思います。
名称

カイザーバード水門監視所(ドナウ運河水門監視所)

Kaiserbad Watergate

設計者

オットー ヴァーグナー(オットー ワーグナーとも)

Otto Wagner

所在地

ウィーン2区

Obere Donaustrasse 26, Wien2

用途

水門監視所

竣工

1907年

構造・規模

構造:鉄筋コンクリート造と思われる

面積:未確認

交通

鉄道:地下鉄U2・4号線 Schottenring 駅下車、ドナウ運河を渡る


参考文献

  1. 『世界の建築・街並みガイド5』20頁、エクスナレッジ
  2. 『図説ウィーン世紀末散歩』南川三治郎、河出書房新社

リンク

  1. オットー・ワーグナー ウィキペディア
  2. Wiener Schützenhaus レストランの公式サイト

公開日:2002年9月17日、最終更新日:2011年6月11日、撮影時期:2002年1月
カメラ:Nikon COOLPIX 775(Photoshopで修正)

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