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カール教会 ( 1/2 )
Karlskirche
ウィーン、フィッシャー フォン エルラッハ、1737年
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華麗なバロック様式の教会

城壁を撤去して整備された環状道路リンクシュトラーセの周辺にはいくつもの庭園や公園があります。そのひとつが旧市街外側の南に位置するカールスプラッツ(カール広場)で、広場の周囲にはオットー ヴァーグナー設計のカールスプラッツ駅、ウィーンフィルの本拠地 楽友協会、さらにウィーン市歴史博物館やウィーン工科大学といった主要な施設が並んでいますが、歴史的に最も重要な存在といえばカール教会でしょう。
 
楕円形ドームを持つ左右対称の華麗な教会は、シェーンブルン宮殿などを手掛けたバロック建築の名手フィッシャー フォン エルラッハによる設計で、建設中に彼が死去した後は息子のヨーゼフが引き継ぎ、1737年に完成しました。バロック様式教会の名作として高い評価を受けています。

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教会建設の背景

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カール教会建設の背景には、1713年にウィーンを襲ったペストの流行がありました。3年後にようやくペストが収まると、皇帝カール6世が守護聖人カール ボロメウスに沈静化を感謝して献堂する形で建てられた次第です。
 
シュテファン大聖堂の地下の墓所(カタコンベ)には、ペストで亡くなった人々の遺骨がギッシリと積み重なっていて、これを見ると当時いかに大変な状況だったかが窺い知れます。もっとも、衛生状態が悪い上に城壁に囲まれた閉鎖的な環境では、疫病が流行るのも当然なのですが。
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記念柱

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その歴史を考えると、きちんと制作意図を調べたわけではありませんが、教会の随所に設置された彫刻は、ペストが収束したことに対する感謝や喜びの気持ちが表現されているように感じます。
 
その最たる作品がファサードに建っている2本の柱。柱の存在自体はローマにある「 トラヤヌスの記念柱」からの引用で、オリジナルの表面にはローマが行った戦争を叙事詩的に描いたレリーフが彫られているのに対して、カール教会の記念柱には、前述のカール ボロメウスがペストを鎮める物語が彫られています。
名称

カール教会(カールス教会とも)

Karlskirche

設計者

フィッシャー フォン エルラッハ

J.B. Fischer von Erlach

所在地

オーストリア、ウィーン1区

用途

教会

建立

1737年

構造

石造

交通

鉄道:地下鉄U1・2・4号線 Karlsplatz駅下車

備考

世界遺産(ウィーン歴史地区として)

左からゼツェッション館、カールスプラッツ駅、カール教会


参考文献

  1. 『建築巡礼13 ウィーンの都市と建築 様式の回廊を辿る』川向正人、丸善
  2. 『世界の建築・街並ガイド5』25頁、エクスナレッジ

リンク

  1. Karlskirche 公式サイト
  2. カールス教会 ウィキペディア
  3. デジカメで綴る旅の想ひ出写真館 > 海外の風景 > ヨーロッパ > オーストリアとロマンチック街道 > ウィーン > カールス教会

公開日:2003年1月26日、最終更新日:2012年4月22日、撮影時期:2002年1月
カメラ:Nikon COOLPIX 775(Photoshopで修正)

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