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クンストハウス ウィーン ( 1/2 )
KunstHaus Wien
ウィーン、F. フンデルトヴァッサー + P. ペリカン、1991年
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【01】
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【02】

芸術家にとって理想の美術館

クンストハウス ウィーンは、ウィーンを拠点に活動した芸術家フンデルトヴァッサーの絵画を中心に展示している美術館です。この美術館自体も彼がデザインしており、展示物から空間に至るすべてがフンデルトヴァッサーの作品ということになります。芸術家にとってはまさに理想的な美術館と言えるでしょう。

大胆なコンバージョン

美術館は既存建物のコンバージョン(用途変更を伴う増改築)で、元はトーネット社(デザイン史上、有名な曲木椅子を製作した会社)の工房でした。ヨーロッパではコンバージョンは珍しくありませんし、古い街並みにあえて異物のような建築を挿入する例もしばしば目にするとはいえ、やはり実際に見ると建築の正規教育を受けていない「素人」ならではの大胆さには驚きます。

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【03】

フンデルトヴァッサーは「ウィーンのガウディ」なのか

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裏側

観光ガイドではフンデルトヴァッサーを「ウィーンのガウディ」などと紹介しています。確かにクンストハウス ウィーンに見られる形状や色彩の自由さ、不規則的なタイル貼りといった手法には、ガウディの建築の影響がうかがえます。
 
しかし、ガウディが一見奇抜な形ながらも構造力学的に裏付けされた設計をしたのに対して、フンデルトヴァッサーは建物のスケッチや模型を提示するだけで、実務的な作業はペーター ペリカンという建築家が行っています。その意味で、フンデルトヴァッサーをガウディになぞらえるのはいささか過大評価でしょう。
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【04】

建築の緑化

写真03中央の突出部分はおそらく美術館にコンバージョンしたときの増築と思われます。写真04はそのアップ。ガラス越しに観葉植物が見えるのが分かりますでしょうか。内部はちょっとした温室のようになっています。私が訪れたのは1月だったので緑化の具合はよく分かりませんでしたが、フンデルトヴァッサーの建築は内外部に豊富な緑化を施すのが特徴です。

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【05】

エントランスの列柱

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写真05は突出部分の下のメインエントランスです。ここに並ぶ3本の柱はその細さから見ておそらく荷重を負担していないと思いますが(裏付けは取っていない)、それはともかく、外観が異質であろうともエントランスの列柱を象徴的に扱っている点においては、フンデルトヴァッサーも古典様式から離れ切れていないことを示しているように思います。
名称

クンストハウス ウィーン

KunstHaus Wien

設計者

フリーデンシュライヒ フンデルトヴァッサー + ペーター ペリカン

Friedensreich Hundertwasser + Peter Pelikan

所在地

ウィーン3区

用途

美術館

竣工

増改築:1991年

構造・規模

未確認

交通

鉄道:路面電車 Radetzkyplatz 駅下車

マーカー上からクンストハウス ウィーン、フンデルトヴァッサー ハウス


公開日:2002年9月16日、最終更新日:2011年6月11日、撮影時期:2002年1月
カメラ:Nikon COOLPIX 775(Photoshopで修正)

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