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パルメンハウス ( 1/2 )
Palmenhaus
ウィーン、フランツ フォン ゼーゲンシュミット、1882年
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【01】
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【02】

ハプスブルク家の温室

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パルメンハウスはシェーンブルン宮殿の庭園にある温室です。広大な庭園の西側、動物園の近くにあります。
 
シェーンブルン宮殿はハプスブルク家が建てた豪華絢爛な宮殿として有名で、世界遺産にも登録されているほどですが、温室もなかなか見事なもので、世界の温室建築の中でも有数の美しさといえるでしょう。
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【03】

温室建築の歴史

温室とは上流階級にとって富の象徴でした。「オレンジの家」を意味するオランジェリー(オランジュリーとも)という施設が温室建築の原型とされます。遠い異国から取り寄せたオレンジの木を、自分の屋敷の独立した建屋か、邸宅の中の大きなガラス窓の部屋で生育させて、そこが社交の場になりました。やがて、植物採集家(プラントハンター)達が世界中から持ち込む植物が増えるにつれて温室も大きくなり、椰子の木が栽培できる程の大空間に発展したのです。
 
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独語のパルメンハウス(Palmenhaus)は英語ではパームハウス(Palm House)、つまり「椰子の家」を意味します。オランジェリーと同様、パームハウス/パルメンハウスも温室の名前としては一般的で、有名なロンドンの キュー植物園の温室(1848年、右の写真)もパームハウスといいます。
 
また、産業革命により鉄とガラスの大量生産が始まったおかげで、このような大温室が実現可能になったことも付け加えておきます。現代建築の主な材料である鉄とガラスを使っていち早く出現した大空間という点で、温室は建築史において重要な存在に位置付けられます。
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【04】

建築的な概要

ウィーンのパルメンハウスは、中央に大きなドームを配置して両翼にヴォールトが延び、両端にはやや小さなドームがあります。全長111m、使用したガラス板は45,000枚という規模はヨーロッパでもかなりのもの。

キュー植物園との比較

全体的な構成や中央ドームの形状はキュー植物園のパームハウスとよく似ており、もしかしたら参考にしたのかも知れません。とはいえ、キューの温室が比較的シンプルな鳥カゴのような外観なのに比べると、パルメンハウスは鉄骨加工の制約の中でより優雅なデザインを目指しています。

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【05】

内部

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内部にはパルメンハウスの由来である椰子の木をはじめ、世界各地から採集した植物が植えられています。梁の大部分が外部に露出しているため、内部は繊細なイメージです。柱頭などには装飾が施されています。
名称

パルメンハウス

Palmenhaus

設計者

フランツ フォン ゼーゲンシュミット

Franz Xaver Segenschmid

所在地

ウィーン13区 シェーンブルン宮殿の庭園内

用途

温室

竣工

1882年

構造・規模

構造:鉄骨造

面積:未確認

交通

鉄道:地下鉄U4号線 Hietzing駅下車 徒歩10分程度

マーカー上からホーフパヴィリオン ヒーツィング駅、パルメンハウス


参考文献

  1. 『人工楽園 19世紀の温室とウィンターガーデン』シュテファン コッペルカム著、堀内正昭訳、鹿島出版会

リンク

  1. ウィーン 行くなら今! > 観光スポット > シェーンブルン宮殿のパルメンハウス

公開日:2002年9月8日、最終更新日:2011年6月18日、撮影時期:2002年1月
カメラ:Nikon COOLPIX 775(Photoshopで修正)

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