photo00
郵便貯金局 ( 1/3 )
Postsparkasse
ウィーン、オットー ヴァーグナー、1906年
photo101

【01】
photo102

【02】

建設の経緯

photo110
一般市民向けの貯蓄制度として郵便局による貯蓄制度がオーストリアで始まったのは1883年のこと。この制度は人気を集め、既存の建物では業務に支障を来すようになったため、新庁舎のコンペが実施されます。これに勝利したオットー ヴァーグナーの設計による新しい郵便貯金局は、特に内部空間の斬新さから建築史に残る名作との高い評価を受けています。

ファサードについて

ファサードは三層構成や屋上の装飾(月桂冠の花輪列と女性像)に歴史様式の名残がうかがえるものの、ほぼ平坦な壁面は十分現代的です。

photo103

【03】

街区型の建物

写真03は裏側の立面。郵便貯金局は単独で街区全体を占める大きな建物で、その内側に後述するガラス屋根のホールがあります。

photo104

【04】

斬新な外壁

郵便貯金局の外観における最大の特徴は、石材パネルを鋲で固定してその鋲をあえて露出させていることです。鋲を目立たせることで、外壁を構成しているのは石の「塊」ではなくて「板」なのだと主張しています。
 
分離派(ゼツェッション)の勃興で建築が歴史様式から脱却しつつあったこの時期、これまでの石を積み上げる構造から鉄筋コンクリート造への工法の変革は、立面のデザインを構造の制約から解き放ちました。ヴァーグナーが考案した手法は、表層のデザインを競う現代建築と基本的に同じ考え方です。

photo105

【05】

過剰なドット

photo111
石材を固定する鋲は、同時期に竣工した カイザーバード水門監視所やアム シュタインホーフ教会にも見られますが、鋲の密度は郵便貯金局が最も高く、遠目には壁一面がドットで覆われているように見えます。いくらなんでも少しやり過ぎな気がしないでもありません。
inserted by FC2 system