photo00
リンケ ヴィーンツァイレの集合住宅 ( 1/3 )
Linke Wienzeile Houses
ウィーン、オットー ヴァーグナー、1899年
photo101

【01】
photo102

【02】

ユーゲントシュティールの代表作

この集合住宅は、建築専門書には住所から「リンケ ヴィーンツァイレの集合住宅」と載っている場合が多いのですが、一般的には「マジョリカ ハウス」と「メダイヨン ハウス」という通称で呼ばれています。ユーゲントシュティール(オーストリアにおけるアール ヌーボーの呼び名)を代表する有名建築です。

建築家のチャレンジ

設計したのは19世紀末から20世紀初頭のウィーン建築界をリードしたオットー ヴァーグナー。彼は、郵便貯金局などの設計では、外壁の石材パネルを固定する鋲をあえて目立たせる手法で新しい表層デザインを追求しましたが、この集合住宅ではグラフィカルな表現を試みています。しかし、ヴァーグナーはこのような壁面装飾の集合住宅を何棟も建てたかったものの周囲の理解を得ることができず、2棟だけで終わってしまいました。

photo103

【03】

色鮮やかな花模様

photo110
2棟のうち、向かって左側の建物は壁一面に色鮮やかな花の模様が広がっています。模様は外壁を覆うマジョリカ焼きのタイルに描かれており、建物の通称はそのタイル産地に由来します。
 
外壁のグラフィカルなデザインという点では フンデルトヴァッサーの建築も同様です。19世紀末と20世紀末のデザインを見比べるのも面白いでしょう。
photo105

【04】

黄金のメダイヨン

photo111
一方、向かって右側の建物は、壁面上部にメダイヨンと呼ばれる装飾が施されています。金色に輝く様子が実に美しい。装飾のデザインはコーモ ローザ( ヨーゼフ ホフマンとウィーン工房を設立した分離派のデザイナー)がデザインしました。
 
そう言えば カールスプラッツ駅の花模様も金色でしたが、このようなゴージャスな色使いは、豪華絢爛な宮殿や劇場が多いウィーンだからでしょうか。
photo113

メダイヨンにはそれぞれ異なる女性の横顔が刻まれている。
photo114

マジョリカ ハウスとメダイヨン ハウスの境目。
photo115

メダイヨン ハウスのエントランス上部。文字は建物の住所。
inserted by FC2 system