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ブルーウィングもじ ( 1/2 )
Bluewing Moji
福岡県北九州市、日本港湾コンサルタント+アプル総合計画 、1993 (平成5)年
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【02】

門司港レトロの一翼を担う可動橋

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ブルーウィングもじは、門司港の第一船溜まりの出入口に架かる歩行者専用の可動橋です。門司港地区は戦前の近代建築がいくつも残っていて「門司港レトロ」として観光地化しています。そこで、観光客が船溜まりを迂回せずに両側を行き来できて、かつ、船舶の航行を阻害しないように、可動橋が建設されました。
 
橋は船の通行が無くても1日に6回開閉しており、橋桁が動く様子は観光客の注目を集めます。その意味では可動橋自体も観光の一翼を担っているというわけです。
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【03】

ユニークな跳開式可動橋

可動橋のいくつかの形式の中でブルーウィングもじは跳開式に分類されます。これは下の連続写真のように橋桁が跳ね上がる形式で、要するに可動橋と聞いて誰もがまず思い浮かべるであろう「跳ね橋」のこと。
 
一般的な跳開式は橋桁が中央で分かれる左右対称形ですが、ブルーウィングもじは短長の異なる長さに分かれる左右非対称形である点がユニークです。「門司港レトロ」の観光イメージに沿うならゴッホの「アルルの跳ね橋」のようなデザインにすれば無難なのに、あえて定番のイメージを外したのは、単なる懐古趣味には陥りたくないという設計者の意志でしょう。
 
ちなみに可動橋の背後の建物は門司港ホテル。イタリアの建築家アルド ロッシの遺作です。

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【04】

船が通過してこその可動橋

「門司港レトロ」は、門司港駅をはじめとする近代建築群だけでなく、可動橋やホテル、展望台を兼ねた超高層マンション 註1 などの新しい施設も織り交ぜながら発展してきました。観光地としては成功しているといえるでしょう。
 
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しかし、このままでは門司港はテーマパークで終わってしまいます。やはり、港町としての奥行きが欲しい。具体的にいうと、第一船溜まりは明治時代に築造されて船運に使われましたが、現在ここを利用する船は遊覧船くらいしかありません。船が通過してこその可動橋であって、遊覧船以外の船が航行しない港で可動橋が律儀に動くのはちょっと寂しい気がします。
 
私が ロンドンで訪れた船溜まりには多数のヨットやクルーザーが停泊していました。このような光景を門司港でも見たいものです。
名称

ブルーウィングもじ

Bluewing Moji

設計者

日本港湾コンサルタント+アプル総合計画事務所

Japan Port Consultant + APL Associates Inc.

所在地

福岡県北九州市門司区港町・東港町

用途

橋梁(歩道橋)

竣工

1993(平成5)年

構造

鉄骨造(可動橋の形式は跳開式)

交通

鉄道:鹿児島本線 門司港駅下車

上からブルーウィングもじ、旧JR九州本社ビル門司港駅


補注

  1. 門司港レトロハイマート。設計:黒川紀章氏、竣工:1999(平成11)年。

参考文献

  1. 『建築MAP九州/沖縄』63頁、TOTO出版

リンク

  1. あじこじ九州福岡県北九州エリア門司港レトロ地区ブルーウィング
  2. ALL-A blog可動橋リスト 筆者のブログ

公開日:2004年8月31日、最終更新日:2011年6月25日、撮影時期:2004年7月・2008年5月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1 + Nikon D50(Photoshopで修正)

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