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北九州市立中央図書館 ( 3/4 )
Kitakyusyu Municipal Central Library
福岡県北九州市、磯崎新、1974(昭和49)年
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【301】
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【302】

3施設の専有部分

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3ページでは、図書館と同じ建物に併設されている北九州市立文学館を紹介します。1ページでも少し触れたように、竣工時から入っていた歴史博物館が他の場所に移転・統合した後、2006(平成18)年に北九州の郷土作家の資料などを展示する文学館としてリニューアルオープンしました。
 
図書館、文学館、視聴覚センターが建物のどの部分を占めているかを模型写真で説明しておくと、2本のチューブがU字に曲がっている部分にそれぞれ文学館と視聴覚センターが、その間のリニア(線的)な部分に図書館が入っています。
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【303】

U字に曲がったヴォールト空間

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このU字とリニアの違いは内部空間で顕著に表れています。旅客機を思わせる図書館の細長い閲覧室もユニークですが、文学館の展示室はそれを上回る面白い空間です。U字の外縁から全体を見渡した光景(写真301)は、類似の建築が思い浮かびません。
 
しかも図書館のような背の高い書架がないので、文学館では空間の魅力を存分に味わうことができます。おそらく、展示計画の担当者は、磯崎氏の建築を損なわないよう配慮しているはずです。
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【304】

ステンドグラス

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チューブの端部となる壁面には、ゴシック建築のバラ窓を思わせる円形のステンドグラスが嵌っています。その図案は、江戸時代の大分の思想家 三浦梅園の著書『玄語』に描かれている図をベースに磯崎氏がデザインしたとのこと。東西の事物を巧みに引用する博覧強記ぶりはさすが。三浦梅園を取り上げたのは、磯崎氏も大分出身ということが関係しているのかもしれません。
名称

北九州市立中央図書館

Kitakyusyu Municipal Central Library

設計者

磯崎新 / 磯崎新アトリエ

ISOZAKI Arata / Arata Isozaki & Associates

所在地

福岡県北九州市小倉北区城内4-1

用途

図書館、文学館、視聴覚センター

竣工

1974(昭和49)年

構造・規模

構造:鉄筋コンクリート造+プレキャストコンクリート造

面積:建築面積 3,612m2、延床面積 9,251m2

階数:地下2階 地上2階 塔屋1階

交通

鉄道:JR小倉駅または西小倉駅下車 徒歩十数分

備考

内部の撮影は図書館や文学館の許可を受けること。

上からリバーウォーク北九州松本清張記念館、北九州市立中央図書館


リンク

  1. con-Quest 九州を旅するweb magazine建築家・中村拓志が巡る、九州建築の旅。ARCHITECTURE in Kyusyu 第1回 福岡編北九州市立中央図書館
  2. 収蔵庫・壱號館北九州市立中央図書館
  3. 北九州市立中央図書館 公式サイト
  4. 北九州市立文学館 公式サイト
  5. 丹青研究所研究成果 丹青研究所レポート > 日本教育新聞 -週刊教育資料-連載 「ミュージアム・ナウ」 北九州市立文学館
  6. 北九州市視聴覚センター
  7. 北九州市立中央図書館北九州市立文学館三浦梅園 ウィキペディア

参考文献

  1. 『現代の建築家 磯崎新』SD編集部、鹿島出版会
  2. 『昭和モダン建築巡礼 西日本編』磯達雄・宮沢洋、日経BP社
  3. 『建築グルメマップ2 九州・沖縄を歩こう』エクスナレッジ
  4. 『建築MAP九州/沖縄』67頁、TOTO出版
  5. 『建築MAP北九州』23頁、TOTO出版

公開日:2003年10月26日、最終更新日:2012年9月15日 文学館の説明などを追加、撮影時期:2011年8月
カメラ:Nikon D50、Canon PowerShot S90(Photoshopで修正)

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