金光教福岡高宮教会00
金光教福岡高宮教会 ( 1/2 )
Konkokyo Takamiya Church of Fukuoka
福岡市、六角鬼丈、1980(昭和55)年
金光教福岡高宮教会01

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一見、奇抜なシリンダー状建築

金光教福岡高宮教会は西鉄高宮駅の近くにある宗教施設です。この地区は、幹線道路沿いにはビルや高層マンションが並んでいますが、裏通りに入ると閑静な住宅街が広がっており、その市街地と住宅街の境目に高宮教会は建っています。
 
新興宗教系の建築物に対しては、「巨大・奇抜」といったイメージを抱く人が多いでしょうし、高宮教会もインターネットではその文脈で紹介されることがあります。確かに、大砲か機械を連想させるシリンダー状の物体は、一見すると異様に感じるかも知れませんが、実際は宗教建築としてはそれほど巨大ではありませんし、コールテン鋼の質感が形態のインパクトを適度に中和していて、全体的には意外と落ち着いた佇まいを見せています。


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金光教の建築デザインの傾向

新興宗教の建築について研究した五十嵐太郎氏によると、金光教は建築デザインへのこだわりはそれほど持っていません。一応、金光教が戦前に定めた教規・教則には、長野県の善光寺に似たデザインが載っており、これに従っている地方教会は多いものの、すべての教会が「標準設計」の通りというわけではありません。戦後に建設された教団本部施設は神社に似た外観 註1 となっています。

金光教福岡高宮教会04

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このデザインを受け入れた懐の深さ

しかし、いくら特定の建築様式に拘らないとはいえ、高宮教会が金光教にとって極めて特異なデザインであることは間違いありません。設計者の六角鬼丈氏でさえも断られると思いながら模型を提示したところ、教団が受け入れたそうです。

金光教福岡高宮教会05

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二つの建物の機能

シリンダー状の建物は「会堂」と呼ばれ、金光教における神聖な空間である「広前」(ひろまえ)やホールなどが入っています。その隣に後年増築された「三信ホール」には体育館や大広間があります。

建物名

金光教福岡高宮教会

Konkokyo Takamiya Church of Fukuoka

設計者

六角鬼丈 / 六角鬼丈計画工房

ROKKAKU Kijo / Kijo Rokkaku Architect & Associates

所在地

福岡県福岡市南区高宮5-17-4

用途

宗教施設

竣工

教会会堂:1980(昭和55)年

三信ホール:1997(平成9)年

構造・規模

教会会堂

構造:鉄筋コンクリート造、延床面積:1,572m2

三信ホール

構造:鉄筋コンクリート造+鉄骨造、延床面積:2,896m2

交通

西鉄大牟田線 高宮駅下車すぐ

備考

公道から見学するのは問題ありませんが、宗教施設なので相応の配慮をお願いします。関係者以外立ち入り禁止。

補注

  1. 教団は「神社の形をまねたのではなく、古代住宅建築様式の一部を表現した」と説明している。『新宗教と巨大建築』五十嵐太郎、124〜125頁。

関連サイト

  1. 金光教福岡高宮教会施設案内 公式サイト
  2. 金光教 ウィキペディア
  3. 六角鬼丈計画工房

参考文献

  1. 『建築MAP 九州/沖縄』42頁、TOTO出版
  2. 『新宗教と巨大建築』五十嵐太郎、講談社

公開日:2010年8月31日、最終更新日:2010年8月31日、撮影時期:2010年4月
カメラ:Nikon D50(Photoshopで修正)

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