【02】
独特な造形の教会建築
宝塚南口駅の近くの線路沿いに一度見たら忘れられないユニークな形の建物があります。女性のハイヒールをひっくり返したように見えるこの建物の正体は意外にもカトリックの教会なのです。
村野建築の多様性
この教会を設計したのは村野藤吾。関西を拠点に戦前から活躍していた村野は、西洋の歴史様式から和風建築、モダニズムまで精通しており、おそらく日本で彼ほど表現が多彩な建築家はいないでしょう。どちらかというと保守的なカトリックの教会にこのようなデザインを持ってくるとは、なかなかできることではありません。かつて「様式の上にあれ」と唱えた村野のデザインの幅広さを如実に示す実例といえます。
【03】
適度なスケール
【04】
自然な異形
巨大化した軟体生物を思わせる外観(実際、近所の子ども達には「なめくじ教会」と呼ばれているとか)は教会としては異形であるにもかかわらず、不思議と違和感を感じません。絶妙なスケール感に加えて、形や仕上げに残る手作り感のおかげでしょうか。
なお、私が訪れたときはミサの最中だったので内部見学は遠慮しましたが、礼拝堂の壁も曲面を多用したものになっています。
建物名 | 宝塚カトリック教会 Takarazuka Cathoric Church |
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設計者 | 村野藤吾 / 村野・森建築事務所 MURANO Togo / Murano and Mori, Associated Architects |
所在地 | 兵庫県宝塚市南口1-7-7 |
用途 | 教会 |
竣工 | 1966(昭和41)年 |
構造・規模 | 構造:鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造 敷地面積:1,342m2、建築面積:380m2、延床面積:418m2 |
交通 | 鉄道:阪急今津線 宝塚南口駅下車 徒歩数分 |
備考 | 見学の際は教会や信者の方のご迷惑にならないよう十分な配慮をお願いします。 |
公開日:2010年5月29日、最終更新日:2014年2月22日 スライドショーに写真を追加、撮影時期:2006年1月
カメラ:Nikon D50(Photoshopで修正)