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沢田マンション ( 2/4 )
Sawada Mansion
高知市、沢田嘉農 + 沢田裕江、1985(昭和60)年(3期工事 完了
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【07】
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【08】

粗さと統一感の絶妙なバランス

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外観の特徴は大きく3つ挙げることができます。ひとつは、立面のほぼ全体を巡っている共用廊下の腰壁が形成する水平ラインです。奥行きの深い廊下と腰壁天端の花台の陰影が白い立面によく映えています。
 
細部を見ると、各階で腰壁の位置が不揃いなところは“素人工事”風ですが、全体的に見ると水平ラインの主張が強いおかげで多少の不揃いは気になりません。ディテールの粗さと全体の統一感とのバランスが上手く取れているのです。
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【09】

設備も自作

次に目に止まるのが、まるで工事現場か工場の作業用リフトのようなエレベーターシャフト。機械設備を含めて自作です。このエレベーターを使うのはほとんど沢田家の人々だけで、5階の大半を占める沢田家住居への行き来や建築資材の搬入に利用されています。
 
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屋上には建設時の資材運搬に使っていたクレーンがそのまま残されています。もちろんこれも自作。
 
このように嘉農さんは機械製作にも通じていました。1階には嘉農さんが収集した昔の貴重な発動機コレクションが展示してあり、しかも彼が修理して実際に動くよう再生されています。
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【10】写真中央の開口部は地下駐車場の出入口

スロープ

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3番目はスロープ。別途、階段もありますが、このスロープが垂直移動の主動線といっていいでしょう。現在はどうだか分かりませんが、筆者が2002年に訪れたときはここを自動車が駆け上がっていくのを目撃して驚いたものです。
 
スロープは南立面の1階から3階まで延びていていますが、実はこれで終わりではありません。
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