宝亀教会00
宝亀教会 1/2 )
Houki Church
長崎県平戸市、1898(明治31)年
宝亀教会01

【01】
宝亀教会01

【02】

平戸に現存する最古の教会

長崎県の平戸島にある宝亀(ほうき)教会は、1898(明治31)年の竣工という平戸市内に現存する中では最古、長崎県全体でもかなり古い教会建築です。外国人宣教師のマタラ神父の指揮 註1 により、五島列島の宇久島出身の大工 柄本庄一が施工しました。
 
構造は基本的に木造でファサード(正面)のみレンガ造となっています。私が訪れたときは改修工事の足場が架かっていて残念ながら見られませんでしたが、赤レンガ色の壁面と柱型などの白との対比が美しいファサードです。ただし、白部分だけでなく赤レンガ色の部分も塗装仕上げであって、レンガの素地が見えているわけではありません(下の写真)。
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宝亀教会03

【03】

珍しいベランダ付きの教会

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宝亀教会の左右両側面にはベランダが設けられていて、ここから出入りすることもできます。教会の設計としてはかなり珍しい。少なくとも私はこのような開放的な教会は初めて見ました。
 
西洋諸国が熱帯地域の植民地に建てた建築物には、快適に過ごす工夫としてベランダを設けたものが多く(ベランダ コロニアルという)、長崎市内のグラバー邸や東山手十二番館といった邸宅にもベランダが付いています。はっきりしたことは分かりませんが、宝亀教会のベランダはこの特徴を受けているのではないでしょうか。
宝亀教会04

【04】

木造リブ ヴォールトの内部空間

宝亀教会042
平面計画は列柱で空間を三分割する教会建築ではオーソドックスな三廊式。天井はリブ ヴォールトですが、これは組積造の構造形式であるヴォールトを木造で再現したもの。実際の小屋組はトラスで、リブ ヴォールト天井はあくまでも見た目のデザインです。これは決して否定的な意味ではなく、日本が西洋建築に出会った頃ならではの面白さと考えるべきでしょう。
建物名

宝亀教会(宝亀天主堂とも表記)

Houki Church

設計者

不詳

所在地

長崎県平戸市宝亀町1170

用途

教会(宗派はカトリック)

竣工

1898(明治31)年

構造・規模

構造:レンガ造・木造

交通

車:平戸大橋 > 国道383号線 > 宝亀町に至る、駐車場あり

バス:西肥バス 宝亀バス停下車

備考

長崎県指定有形文化財

ここは信仰の場です。見学の際は教会や信者の方々の迷惑とならないよう十分な配慮をお願いします。筆者の訪問時は内部の見学・撮影は可能でしたが、その後に状況が変わっている可能性があります。現地で注意事項を確認の上、その指示に従ってください。

補注

  1. マタラ神父が設計者といえるかどうか、筆者が調べた範囲では判断できなかったので、本稿では設計者は「不詳」とした。

参考文献

  1. 『九州・沖縄を歩こう! 建築グルメマップ2[九州・沖縄編]』345頁、エクスナレッジ
  2. 『三沢博昭写真集 大いなる遺産 長崎の教会』(三沢博昭、発行 智書房、発売 青雲社)

リンク

  1. 宝亀教会 ウィキペディア
  2. 長崎県東京事務所 > 大いなる遺産ながさきの教会 > 宝亀教会
  3. 平戸観光協会 達人Navi平戸 > 平戸キリシタン紀行 > 宝亀教会
  4. 長崎の教会 > 平戸・北松地区 宝亀教会
  5. 長崎新聞 > めざせ世界遺産 > 宝亀教会
  6. おらしょ こころ旅 > 宝亀教会堂
  7. 旅する長崎学 > 教会巡礼のマナー

公開日:2011年1月29日、最終更新日:2011年1月29日、撮影時期:2005年9月
カメラ:Nikon D50(Photoshopで修正)

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