【02】地下に続く階段。背後の建物は長崎市平和会館
祈念館の目的
国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(以下、祈念館)は、長崎市に投下された原子爆弾で亡くなられた方々の追悼と世界の平和を願うために、国が建設した施設です。追悼の他に、死没者名簿の保管、遺影・体験記・資料の収集、被爆医療や平和を中心とした国際協力・交流の情報提供も行っています。ちなみに広島市にも同様の施設があります。
ほとんどが地下に
敷地が公園であることの配慮などから、祈念館の機能はほぼ完全に地下に埋まっています。地上にあるのは2枚のガラスの壁のモニュメントと円形の水盤、エレベーターシャフトだけですが、この地上部分も追悼空間の一部です。間近に市街地が迫って雑然としているため、来場者が祈りに集中できるよう生け垣で囲んで余計な景観は遮断しています。
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追悼に向かうアプローチ
来場者はまず円形水盤の周りを歩きます。この水盤は、原爆の熱に焼かれた被爆者達が水を求めたことを表現しています。生け垣で周囲の視界は遮断されているので、自然と視線は水面に浮かぶガラスのモニュメントに集まり、巡り歩く過程で来場者の気持ちは原爆死没者の追悼へと向かうことになります。
モノリスのようなガラスの壁
ガラスの壁と聞くと脆さを連想しますが、厚みのある不透明の壁は量塊感があって強固な印象を受けます。横長のモノリスといった感じでしょうか。壁の軸線は爆心地の方向を指しています。また、2枚の壁の間は地下空間のトップライトになっています。
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ライトアップの美しさ
この水盤とモニュメントが本当の美しさを見せるのは夜になってから。内蔵の照明でモニュメントが光るとともに水面には多数の光点が浮かび、実に感動的な光景が広がります。光点は原爆死没者を象徴していて、死没者数と同じ約7万個 註1 の光ファイバーによる光源が水盤に仕込まれています。
正直言って私の写真ではこの美しさをまったく表現できていません。長崎に行く機会があればぜひ実際に見ていただきたいと思います。