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オートポリス ロイヤル スタンド ( 1/2 )
Autopolis Royal Stand
大分県日田市上津江町、アーキテクトファイブ、1991 (平成3)年
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【01】左手前:ロイヤル スタンド、右奥:パドックビル
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【02】

九州の山奥にできた本格的なレーシングコース

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バブル末期の1990(平成2)年。自動車レースF1の開催を目指して九州の山奥にオートポリスという本格的なレーシングコースが建設されました。しかしバブルが崩壊して運営会社は倒産します。
 
その後、債権者のゼネコンが運営するも行き詰まり地元自治体に無償譲渡。第3セクターやボランティアで運営を続け、2005(平成17)年に川崎重工がコースを買収しました。現在は、国内の有力レースが開催されたり九州のモータースポーツファンが走行するなど、バブルの遺産ながら経営は比較的上手くいっています。

解体を免れたVIP用観覧席

オートポリスに付属する施設の中で有名建築家が設計したものには、アーキテクトファイブによるVIP用観覧席とホテル、内藤廣氏による美術館があります。このうち、ホテルと美術館はオートポリスの破綻に伴い閉鎖され、十数年間の放置の末に解体されてしまいました。
 
一方、観覧席は私が訪れたときは閉鎖されていましたが現在は使われているようです。本稿ではこの観覧席=ロイヤル スタンドを紹介します(オートポリス公式サイトはロイヤルルームと記載)。
 
Googleマップで位置関係を示すと左のマーカーから美術館、観覧席、ホテルです。今のところ航空写真には解体施設がまだ写っています。

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【03】

建築的な特徴

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ロイヤル スタンドは、同じデザインの2棟がストレートコースに並行して建てられています。マシンが最速で駆け抜けるストレートコースを間近で観戦できる上、反対側のガラス面からはコース全体が一望できるなど、ロイヤル スタンドは正に限られたVIPのための特等席です。
 
建物は2階建てで1階はピロティ、2階は観戦に特化した全面ガラスになっています。ガラスが傾斜しているのは、太陽の反射光がドライバーの目に入らないようにするため。
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【04】
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【05】

フェスティバルガーデン

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写真04以降はストレートコースの反対にあるフェスティバルガーデンという広場側の立面です。おそらく表彰式等のイベントを行うスペースでしょうか、ロイヤル スタンドと広場とは高低差があって階段状になっています。
 
写真は濃霧のせいで分かりにくいのですがかなり広大な空間。しかも人っ子一人いないので「バブルの夢の跡」の寂寥感を強く感じたものでした。
名称

オートポリス ロイヤル スタンド

Autopolis Royal Stand

設計者

アーキテクトファイブ

ARCHITECT 5 PARTNERSHIP

所在地

大分県日田市上津江町上野田(オートポリス敷地内)

用途

観覧席

竣工

1991(平成3)年

構造・規模

構造:鉄骨造、階数:地上2階・塔屋2階

建築面積:3,312.00m2、延床面積:5,353.20m2

面積は2棟の合計

交通

交通手段は車のみ。ルートは公式サイトを参照。

備考

見学の際はレース関係者に迷惑をかけないようお願いします。

参考文献

  1. 『新建築』1992年1月号、新建築社
  2. 『九州・沖縄を歩こう! 建築グルメマップ2[九州・沖縄編]』298頁、エクスナレッジ

リンク

  1. オートポリス 公式サイト
  2. オートポリス ウィキペディア
  3. ARCHITECT 5 PARTNERSHIPProject > 建築 1986-1992 No.010

公開日:2002年11月26日、最終更新日:2011年8月7日、撮影時期:2002年10月
カメラ:Nikon COOLPIX775(Photoshopで修正)

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