組織・施設の概要
京都大学地球熱学研究施設は火山、地熱、温泉に関する研究と教育を行う京都大学の施設です。正式名称は京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設ですが、長いので本稿では一部省略します。同施設は大分県別府市に本部が、熊本県南阿蘇村に火山研究センターがある他、両県内に観測施設を持っています。ここでは別府市の本部について紹介いたします。
この建築は、別府市が敷地を無償貸与するなどの積極的な援助の下、地球物理学教室の付属研究所として1923(大正12)年 註1 に竣工しました。敷地は海岸沿いの的ヶ浜公園から幹線道路を内陸部に直進したところ。道路の向かい側にはビーコンプラザ(設計 磯崎新)があって、そのタワーの展望台から地球熱学研究施設を見下ろすことができます(写真02)。設計者は京都帝国大学営繕課の永瀬狂三 註2 です。
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建築の特徴
地上階の外壁は、レンガ造の柱型に対する石貼りのパラペット、コーニス、スパンドレル等 註3 、つまり垂直要素と水平要素が紅白のコントラストを成していて、華やかな印象を受けます。いささか大きすぎる塔屋も、立面の強さのおかげでそれほど違和感がありません。柱頭の装飾は、ギリシア・ローマ建築のイオニア式をグラフィカルに簡素化したものです。
名称 | 京都大学地球熱学研究施設 Kyoto University Institute for Geothermal Sciences |
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設計者 | 永瀬 狂三 / 京都帝国大学営繕課 NAGASE Kyozo / Kyoto Imperial University Building and Reparing Department |
所在地 | 大分県別府市野口原3088-176 |
用途 | 研究施設 |
竣工 | 1923(大正12)年 |
構造・規模 | 構造:レンガ造(組積造)、鉄筋コンクリート造 階数:地下1階 地上2階 および塔屋 建築面積:510m2、延床面積:未確認 |
交通 | バス:ビーコンプラザ前下車すぐ |
備考 | 国登録有形文化財 |
補註
- 書籍やウェブサイトの多くは1924(大正13)年竣工と記しているが、公式サイトの年表は1923(大正12)年12月の竣工と、また『日本近代建築総覧』(日本建築学会)も「T12」と記載しており、本稿も1923(大正12)年とした。
- 永瀬狂三(ながせきょうぞう)、1877〜1955(明治10〜昭和30)年。愛知県出身。東京帝大建築学科卒。下田菊太郎の事務所と辰野・片岡設計事務所を経て京都帝大に入り、大学施設等を手掛けた。京都市の京都大学には彼が設計した建築がいくつか残っている。
- パラペット:屋上の腰壁、コーニス:最上部に突出した水平帯、スパンドレル:上下の開口部の間の外壁
参考文献
- 『日本近代建築大全〈西日本編〉』講談社
リンク
- 京都大学地球熱学研究施設 公式サイト
- ITOデザイン事務所 > 別府の近代建築遺産 > 京都大学大学院物理学研究科附属 地球熱学研究施設
- 京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設、永瀬狂三 ウィキペディア
公開日:2013年11月9日、最終更新日:2013年11月9日、撮影時期:2007年4月
カメラ:Nikon D50(Photoshopで修正)