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コアやまくに ( 1/3 )
Core Yamakuni
大分県中津市山国町、栗生明、1996(平成8)年
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【01】
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【02】

山奥に現れたアトリウム

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手前の橋も栗生明氏の設計

山国町は文字通り大分県の山中に位置し、人口4千人程度の感覚的には村というべき小さな町です(2005年に中津市と合併)。ここも課題は過疎化で、町の活性化の一環として「コアやまくに」は建てられました。
 
車で山道を延々と走って集落に入ると、やがて塔とガラスのアトリウムが見えてきます。失礼ながら山間部の集落にあるとは思えないデザインで、よくあるハコモノ施設とは一線を画するものであると感じ取れます。
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【03】

都市のような建築

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コアやまくには機能的には町役場(合併後は支所)、ホール、集会所、図書館、ギャラリー、アトリエ、スケート場といった地域の公共施設を集約した複合施設です。
 
各機能には個別のボリュームが与えられ、実際はひとつの建物ですが分棟しているかのように設計されています。建築物というよりひとつの都市を思わせる外観です。
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【04】

アトリウムと池だった広場

分散した諸機能をまとめているのが巨大なアトリウムです。大きなガラスの壁面はけっこうな迫力。
 
水色の部分は冬はスケートリンクに使用し(九州で屋外スケート場は珍しい。九州でも山間部はけっこう寒い)、冬以外は竣工当時は池だったようですが、私が訪れたときは水を抜いていました。後で調べたらインラインスケート場になっている模様。水を張った様子が見られないのは残念なものの、ここは広場としても使えそうですね。

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【05】

シンボルタワー

高さ50mの塔はシンプルな柱型。この種のシンボルタワーにしては珍しく特に名前は付いていません。コアやまくにを都市に見立てるならば、ヨーロッパの街に教会の鐘楼がそびえているようにここにも塔が必要との発想でしょうか。
 
片持ちで突き出ている部分は展望台ですが、エレベーターはなく階段をひたすら上ることになります。そういうところもヨーロッパの教会の鐘楼と同じだとでも思わなければ、なかなか上る意欲が起きないでしょう。

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【06】

上からではなく下から見るための塔

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展望台は空調不要とするために屋根が無い吹きさらしになっています。ところが、床の勾配不足かドレンが詰まっているのか、床に水が溜まって先端に足を踏み入れられない状態でした。眺望も正直言ってさほどたいしたものではありません。ただ、アトリウムを見下ろすことができるので、建築関係者は頑張って上る価値があります。
 
基本的にこの塔は町のランドマークとして眺めるための存在です。
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