【02】
建設の経緯
東京国際フォーラムは、コンベンションセンター、劇場、会議室、展示場などの多用な機能が収まっている複合施設です。元々この敷地には丹下健三氏が設計した旧東京都庁舎がありましたが、新宿に移転が決まり、今度も丹下氏の設計であの有名な現・都庁舎が竣工。そして、旧都庁舎を解体した跡地に東京国際フォーラムが建てられました。設計者は、国際公開コンペで選ばれたラファエル ヴィニオリという建築家です。
磯崎新氏の批判
この東京国際フォーラムをはじめ、東京都がバブル時代に計画した5件の大型公共施設が完成したとき、建築家の磯崎新氏はこれらを「粗大ゴミ」と批判しました。この辛辣な言葉は、どちらかというと建築物単体よりも東京都の都市政策に対する批判だったのですが、多額の税金を投じたハコモノ行政を批判する意味においても、東京国際フォーラムの巨大なアトリウムは分かりやすい事例といえます。
【03】
抗いがたいアトリウムの魅力
一方で、このガラスホールが建築表現として魅力的であることも否定しようのない事実です。レンズ型のアトリウムは全長204m、屋根の架構はクジラの骨格を思わせるデザイン、この架構を支える柱はたった2本でスパンは124m、そして空中を梁を兼ねたブリッジが横切るという、まるでSF映画のようなダイナミックな空間には誰もが感嘆してしまいます。
【04】
時代の必然として出現した建築
丹下氏が設計した東京オリンピックの代々木屋内競技場や大阪万博のお祭り広場が、高度成長期の日本を象徴する建築空間になったように、資金と技術が揃っていたバブル時代に東京にこのガラスの大空間が出現したのは、社会的妥当性はともかく建築史的には自然な流れといえるでしょう。
名称 | 東京国際フォーラム Tokyo International Forum |
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設計 | ラファエル ヴィニオリ Rafael Vinoly / Rafael Vinoly Architects |
所在地 | 東京都千代田区丸の内3-5-1 |
用途 | コンベンションホール・劇場等の複合施設 |
竣工 | 1996(平成8)年 |
構造・規模 | 構造:鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造 階数:地下3階 地11階 敷地面積:27,375m2 建築面積:20,951m2、延床面積:145,078m2 |
交通 | 鉄道:山手線または地下鉄有楽町駅 下車 |
中央のマーカーが東京国際フォーラム
参考文献
- 『新建築』1996年8月号、新建築社
- 『建築MAP 東京』109頁、TOTO出版
リンク
- 東京国際フォーラム 公式サイト
- 東京国際フォーラム ウィキペディア
- 構造設計集団 SDG > SDG WORKS 1995-1999 > 東京国際フォーラム
- Archstructure.net > contents > 東京国際フォーラム ガラスホール
- 東京建築士会 > 20世紀 東京の建築遺産50選 > MAP > 東京国際フォーラム
公開日:2003年12月1日、最終更新日:2012年3月11日、撮影時期:2003年10月
カメラ:Nikon COOLPIX775(Photoshopで修正)