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プラダ ブティック青山 ( 1/2 )
PRADA BOUTIQUE AOYAMA
東京都、ヘルツォーク & ド ムーロン + 竹中工務店、2003 (平成15)年
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プラダの旗艦店

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プラダ ブティック青山は、高級ブランドとして知られるプラダの日本市場における旗艦店です。デザインに関心がある人ならご存じの通り、東京・青山の表参道には有名建築家が設計した高級ブランドの旗艦店が軒を連ねているのですが、プラダの店舗はそれらが集中する界隈から少し離れた場所にあって、表参道に比べると周囲は雑然としています。
 
敷地から参照可能な都市の文脈が見出しにくい中、設計者のヘルツォーク&ド ムーロン(H&deM)は、容積率や斜線制限といった法規制から半ば自動的に生成する手法でボリュームを決定し、高級ブランドの旗艦店として目立たせるためにこれを菱形のガラスで覆うことにしました。こうして出来上がった建築は、確かにその狙い通り青山のブランドショップ群でも一際存在感を放っています。
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昼と夜で異なる表情

プラダ ブティック青山は昼と夜で受ける印象がまったく異なります。昼間はガラスに空が映り込んで内部はあまり見えず、オブジェか結晶のような感じを受けます。
 
一方、照明が点灯する夜は、斜め格子のフレーム越しに内部が丸見えになり、建物全体がショーケースと化します。一流ブランド店の高い敷居を跨がなくても内部空間がうかがえるのは、建築ファンにとってはありがたいですね。

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鳥カゴのような構造

夜は斜め格子が鳥カゴのように見えますが、実際その通りで、この建物は柱と梁で支える従来の構造ではなく、外殻の格子によって建物全体を支えています。
 
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日本では耐震設計上この種の構造は難しいとされていましたが、プラダ ブティック青山は地下に免震装置を設置して耐震の問題をクリアしました。しかし、建物と地面の関係を切断するともいえる免震装置の力を借りることが妥当かどうか、筆者にはいささか疑問が残ります。

誤解がないように述べておくと、筆者は一般の建物が免震装置を導入して耐震性の向上を図ることは否定しません。ただ、プラダ ブティック青山のように構造が表現の重要なポイントになっている場合、その構造が十分な耐震性を有していないのは表現の合理性や必然性が欠けているように感じてならないのです。
 
とはいえ、構造と表現が一体化したプラダ ブティック青山は、それまで表層的なデザインが多かったH&deMにとって、大きな転換点になった建築であることは間違いありません。

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オープンスペース

もうひとつプラダ ブティック青山で注目すべき点は、プラザと呼ばれるオープンスペースの存在です。ここも青山店の敷地ですが、誰でも自由に立ち入りできるポケットパーク的なスペースになっていて、通行人がベンチで休憩したり建築ファンが写真を撮ったりしています。このようなスペースを用意した設計者と施主の公共精神は高く評価されるべきですし、他の商業施設も見習うべきでしょう。

名称

プラダ ブティック青山

PRADA BOUTIQUE AOYAMA

設計

ヘルツォーク&ド ムーロン + 竹中工務店

Herzog & de Meuron + TAKENAKA CORPORATION

所在地

東京都港区南青山5-2-6

用途

店舗

竣工

2003(平成15)年

構造・規模

構造:鉄骨造・鉄筋コンクリート造、階数:地下2階 地上7階

建築面積:369.17m2、延床面積:2,860.36m2

交通

鉄道:JR山手線 原宿駅 または 地下鉄 表参道駅下車

備考

2005年度日本建築学会賞

参考文献

  1. 『新建築』2003年9月号、新建築社
  2. 『CASA BRUTUS』2003年7月号、マガジンハウス
  3. 『X-Knowledge HOME』2003年9月号、エクスナレッジ

リンク

  1. Archstructure.netcontentsプラダブティック青山店
  2. 10+1 DATABASEBACKNUMBERNo.354:ヘルツォーク&ド・ムーロン《プラダ ブティック青山》──豪奢な意匠の合理性
  3. 記録 三松幸雄プラダ ブティック青山
  4. excite ism エキサイト イズム > バックナンバーvol.66 リスペクト、東京建築。
  5. ヘルツォーク&ド・ムーロン ウィキペディア

公開日:2003年10月20日、最終更新日:2012年3月11日、撮影時期:2003年10月、2008年10月
カメラ:Nikon COOLPIX775、Nikon D50(Photoshopで修正)

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