【02】
高低差を活かした立体的な団地
白雲台(はくうんだい)団地は、下関市で戦後比較的早くに建設された市営住宅で、このうち一部の住棟が1990年代に建て替えられました。本稿ではこの建て替え後の住棟を中心に紹介します。
建て替え部分の敷地は傾斜地になっていて、住棟配置ではこの高低差を巧みに活用しています。細長い敷地の低い部分に低層棟、高い部分に中・高層棟が平行に並ぶという実直な配置ながら、低層棟を湾曲することで住棟の間に広い中庭を確保し、高い地盤の方から低層棟の2〜3階にブリッジを架けて立体的な街路空間を造り出しています。
【03】
設計者について
【04】
開放的な階段室
【05】
街路のような構成の中層棟
【06】
51C型住棟
この51C型で採用された食寝分離の考え方とダイニングキッチンは、戦後の住宅設計に大きな影響を与え、日本人のライフスタイルの近代化を促進しました。新旧両方の住棟を見比べながら、戦後の集合住宅のどこがどのように進化したのか、変わらない部分があるとしたらどこか、などを考えてみるのも面白いでしょう。
建物名 | 白雲台団地 Hakuundai Public Housing |
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設計者 | 早川邦彦 / 早川邦彦建築研究室 HAYAKAWA Kunihiko / KUNIHIKO HAYAKAWA ARCHITECT & ASSOCIATES |
所在地 | 山口県下関市上田中町8 |
用途 | 集合住宅 |
竣工 | 1996(平成8)年 |
構造・規模 | 構造:鉄筋コンクリート造 建築面積 3,110.57m2、延床面積:8,207.80m2 |
交通 | バス:新開町バス停下車、徒歩数分 |
備考 | 見学・撮影の際は住民のプライバシーに十分な配慮をお願いします。 |
参考文献
- 『新建築』1996年8月号、新建築社
- 『建築MAP 北九州』158〜159頁、TOTO出版
- 『建築グルメマップ4 中国・四国を歩こう!』247頁、エクスナレッジ
リンク
公開日:2010年11月5日、最終更新日:2013年5月15日 51C型住棟の写真を差し替え、スライドショーを追加
撮影時期:2005年6月、2012年11月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1、Canon PowerShot S90(Photoshopで修正)