ロンドン市庁舎
ロンドン市庁舎 ( 1/5 )
London City Hall
ロンドン、 ノーマン フォスター、2002
photo101

【11】左:ロンドン市庁舎、中央:フォスター設計のオフィスビル、右:退役軍艦HMSベルファスト号
photo102

【12】

ミレニアム プロジェクトによる新市庁舎

ロンドンでは1990年代から活発な再開発が行われて建設ラッシュの様相を呈します。これら一連のプロジェクトは21世紀を迎えるに当たってのミレニアム事業として、あるいは時勢に便乗したムードで実行されたもので、21世紀に入ってもなお続くこの流れはちょっとバブル気味の感は否めません。
 
ともかく、こうしていくつもの新しい建物がロンドンに完成したわけですが、中には「本当に必要なのか?」「カネの無駄」「景観を乱す」といった物議を醸すものもあります(例えばミレニアムドーム)。そんな賛否両論が渦巻く中、タワーブリッジやロンドン塔が建つロンドン随一の観光名所の間近に出現したこれまた極めてユニークな外観のビルは、少なくとも必要性の点では最も重要な施設のひとつに数えられるでしょう。なにしろ市役所ですから。

photo103

【13】

ユニークな建築の設計者は御大フォスター

設計はイギリスを代表する建築家のノーマン フォスター。毎回、斬新な構造や空間に挑戦する彼がロンドン市庁舎で試みたことは、フロアを各階ごとに少しずつズラしてビル全体を斜めに傾けるというもの。その結果、歪んだ卵か、斜めに生えたタケノコか、何にせよ一度見たら忘れられない風変わりな市庁舎と相成ったわけであります。
 
写真13はタワーブリッジ上部のウォークウェイから見たところ。地上10階、地下1階、高さ45mの建物は、ロンドンという大都市の市庁舎にしては意外と小規模です。

photo104

【14】

景観を乱すか否か

ロンドン市庁舎は他に例を見ない独特な形状ではありますが、では都市景観を乱しているかというと、私はそのようには感じませんでした。背後の高層ビルと比べると、市庁舎の方が案外、景観に馴染んでいるとさえ言えます。思うに、いびつとはいえ基本的に球形のシンプルな形であることや、上の階ほど細くなっているのでボリューム感が抑えられていることが効いているようです。むしろ、傾きのない単なる円錐状の建物だったら凡庸で格好悪いものになっていたかもしれません。
 
photo120
とはいえ、角度によっては少々不格好に映る場面もあって、正面?から見るとなんだかヘルメットのようです。ギザギザ状のガラス面の内側は吹き抜け空間で、底部には市議会の議場があります(後述)。
inserted by FC2 system