
【02】
世界で最も美しい集合住宅

この世界遺産に登録されるほど美しいまちなみを象徴する建築が、 サーカスとロイヤル クレセントというふたつの集合住宅です。特に後者、イオニア式の列柱に飾られた半楕円形の建物、その形に抱かれるように広がる芝生と青空、そして芝生でくつろぐ人々… この光景を目の当たりにすると、ロイヤル クレセントこそ世界で最も美しい集合住宅だという評価が過言ではないと共感していただけるでしょう。

左:ロイヤル クレセント、右:サーカス(Googleマップのキャプチャ)
親子二代で設計


【03】
サーカス&クレセント型の流行
幾何学的形状の広場を集合住宅で囲む方法は、近世のパリやロンドンから始まりました。当初の広場はスクエア(四角形)が主流だっただけに、ジョン ウッド親子のサーカスとロイヤル クレセントという画期的なデザインの影響は大きく、イギリス各地でこの形状が流行しました。イギリスの都市をGoogleマップの航空写真モードでスクロールすると、クレセントやサーカス型の建物をいくつか見つけることができるはずです。

【04】
テラスハウス

ロイヤル クレセントの戸数は30、階数は地上3階、地下1階。現在も住民が暮らしているので中には入れませんが、東端の住戸は建設当時のインテリアを復元した博物館として一般公開されています(ただし内部撮影は禁止)。また、一部は The Royal Crescent Hotel というホテルになっているので、宿泊すれば存分に見学が可能です。

【05】
ドライエリア

単純だが上手く隠した石垣

名称 | ロイヤル クレセント(ロイヤル クレッセントとも) Royal Crescent |
---|---|
設計者 | ジョン ウッド ザ ヤンガー(息子) John Wood the Younger |
所在地 | イギリス バース Bath, UK |
用途 | 集合住宅 |
竣工 | 1775年 |
構造・規模 | 構造:石造、階数:地下1階 地上3階 |
交通 | 鉄道:バース スパ駅で下車、徒歩20~30分 |
備考 | 世界遺産(バース市街として) |
左からロイヤル クレセント、サーカス
補註
- 日本国内にもクレセント型に近い集合住宅がわずかながら存在する。筆者が把握しているのは旧日本住宅公団 桜川市街地住宅(大阪市浪速区桜川3)、播磨科学公園都市の賃貸住宅であるオプトハイツ(磯崎新アトリエ+設計組織ADH、兵庫県赤穂郡上郡町光都2-20-3)、アイランドシティ・インフィニガーデン(福岡市東区香椎照葉3-2)の3件。
参考文献
- 『世界の建築・街並みガイド2 イギリス/アイルランド/北欧4国』33頁、エクスナレッジ
- 『ピトキン・シティ・ガイド バース』ジャロルド パブリッシング(現地で購入した日本語版ガイドブック)
リンク
- Royal Crescent ウィキペディア英語版
公開日:2005年4月23日、最終更新日:2012年10月6日、撮影時期:2004年9月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1(Photoshopで修正)