【03】
都市景観に与えた変化
ニューヨークや東京といった他の大都市に比べると、ロンドン/シティのビルは単体・スカイラインとも少々魅力に乏しいことは否定できませんでした。フォスターによる二棟のビルはそこに大きな変化を及ぼすことになります。特に30セント メリー アクスは超高層ビルなだけに市民の間で景観論争を巻き起こし、その独特の形状はグロテスクだとの批判もあったようです。
【04】
形状の合理性
しかし、グロテスクという声はおそらく完成予想CGか何かを見た第一印象だったのではないでしょうか。本物を実際に見たところ、意外といいではないかと私は思いました。上の階ほど先細りになっている形状は建物のボリューム感の低減に効果があり、街並みに与える威圧感は一般的な矩形のビルよりもかなり低く抑えられています。
ガラスの色が異なっている部分は、これに沿って吹き抜けがあることを示しています。渦巻き状の吹き抜けは、ビル全体の換気を促して空調負荷の低減に効果があるとのこと。一見、奇抜に思える形状は、威圧感の抑制やエコロジー対策をはじめ、ビル風の低減、日影範囲の減少、内部空間の無柱化といったことを実現する合理性に裏付けられているのです。
超高層ビルの設計でユニークな形を提案する建築家は何人もおれども、形と理論をこれほど高いレベルで融合させるとは、さすがはフォスター卿と感心するしかありません。まあ、ちょっと汚れが目立つのが残念ではありますが。
【05】
新旧の建築が混在
このビルの近くには古い教会やロンドン塔、そして世界的な保険組合ロイズ オブ ロンドンのビルなどが建っています。このようにハイテクビルと古い建築が混在する景観こそロンドンの魅力です。
名称 | 30セント メリー アクス 30 St Mary Axe またはスイス再保険会社本社(Swiss Re Headquarters) |
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設計者 | ノーマン フォスター / フォスター アンド パートナーズ Norman FOSTER / Foster and Partners |
住所 | イギリス ロンドン St. Mary Axe, Bury Street, Bury Court and Browns Buildings, London |
用途 | 事務所 |
竣工 | 2004年 |
構造 | 鉄骨造 |
交通 | 鉄道:地下鉄の Bank 駅か Monument 駅で下車、徒歩約10分 |
備考 | 関係者以外立入禁止。オープンハウスの日のみ一般公開される。 |
参考文献
- 『a+u』2004年9月号、エー・アンド・ユー
リンク
- Swiss Re スイス リ社の公式サイト
- nikkeibp.jp > 建設 > フォスター氏設計の「30セント・メリー・アクス」にスターリング建築賞
- 30セント・メリー・アクス ウィキペディア
- 英国ニュースダイジェスト > シティを歩けば世界がみえる > 第35回 聖メアリー斧通り
公開日:2005年2月20日、最終更新日:2013年6月23日 文章と写真を若干修正し、スライドショーを追加、撮影時期:2004年9月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1(Photoshopで修正)