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セント ポール大聖堂 ( 1/2 )
St Paul's Cathedral
ロンドン、クリストファー レン、1710年
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【01】テート モダンのカフェからの景観
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【02】

ロンドンの中心的存在である大聖堂

セント ポール大聖堂は、世界的な金融街にして中世から続くロンドンの中心部「シティ(City of London)」に建っている教会です。最初の建物は604年に建立されますが、この教会は過去何度も焼失と再建を繰り返しており、現在の教会は1666年のロンドン大火で焼失した後、建築家クリストファー レンの設計により1710年に再建されました。ちなみに、1981年にはチャールズ皇太子と故ダイアナ妃との結婚式がここで行われています。
 
英国国会議事堂(ウェストミンスター宮殿)の時計台ビッグベン、跳開橋のタワーブリッジ、観覧車のロンドン アイなどロンドンのいくつものランドマークの中で、セント ポール大聖堂は特に重要視されていて、大聖堂周辺の建築物の高さ制限や、市内の特定ポイントから大聖堂への視界を確保することといった建築規制が設定されています。

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【03】

巨大なドーム

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イギリスの教会建築はゴシック様式が主流ですが、教会の再建にあたってレンはバロック様式を採用しました。十字型平面の中心に位置するドームは、内側の直径34.2m、床からドーム内側の頂部までの高さ65.3m、そして地上からドーム上部の尖塔の先までの高さ111.5m。教会建築としては現在でも世界有数の大きさを誇るこのドームが、前述の通り都市景観の基準になっています。
 
ドームの頂上は一般公開されていて階段で登れることができますが、筆者は時間が無くて見逃しました。
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【04】

ドームとロング ヴィスタ

実はロンドン大火の後、クリストファー レンは大聖堂だけでなくロンドン全体(現在のシティ地区)の再建案も作成します。セント ポール大聖堂前の広場を基点とする2本の大通り、そして複数の広場とそこから放射状に延びる街路を設けるという彼の案は、長いヴィスタで遠近法的な景観を創るバロック的な都市空間を意図したものでしたが、結局は実現しませんでした。
 
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その歴史を踏まえると、2000年に竣工した ミレニアム ブリッジが、その軸線上にセント ポール大聖堂が位置するようテムズ川に架けられたのは、レンに対するオマージュといった意味を含んでいるのかもしれません。
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【05】

ファサードと内部

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写真05は身廊側の入口、すなわちメインエントランスである西立面。筆者が訪れたときは改修工事の足場に覆われて全ては見えませんでしたが、双塔を構えた堂々たるファサードです。
 
特別な行事がない限りは観光客も内部を拝観できます(ただし、内部は撮影禁止)。たまたま筆者が中に入ったときにミサが始まり、荘厳なドーム内部に聖歌が響き渡る瞬間に立ち会うことができました。あの全身が震えるような空間体験は生涯忘れられません。
名称

セント ポール大聖堂

St Paul's Cathedral

設計者

クリストファー レン

Christopher Wren

所在地

ロンドン、イギリス

London, UK

用途

教会(宗派は英国国教会)

竣工

1710年

構造

石造、レンガ造

交通

鉄道:地下鉄 St Paul's 駅下車

備考

入場時間・料金などは公式サイトを参照のこと

内部撮影禁止

マーカー上からセント ポール大聖堂、ミレニアム ブリッジテート モダン


参考文献

  1. 『西洋建築史図集』日本建築学会、彰国社
  2. 『イギリス大聖堂・歴史の旅』石原孝哉・市川仁・内田武彦、丸善

リンク

  1. St Paul's Cathedral 公式サイト(日本語ページあり)
  2. ロンドン観光ガイド ロンドンナビ > セント・ポール大聖堂
  3. セント・ポール大聖堂 ウィキペディア

公開日:2012年8月4日、最終更新日:2012年8月4日、撮影時期:2004年9月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1(Photoshopで修正)

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