【02】
世界で最初の地下鉄
世界で最初に地下鉄が開通した都市がロンドンであることは、ご存じの方も多いでしょう。運行を開始したのは1863年、日本はまだ江戸時代の文久3年でした。最初の区間はパディントン駅〜ファリンドン駅の約5.6kmで、これは現在もハマースミス&シティ線 註1 の一部として使われています。
筆者はロンドンを旅行した際にパディントン駅近くのホテルに泊まったので、同駅をよく利用したものです。そのときは、ロンドン地下鉄が世界初とは知っていたものの、パディントン駅が開業時の駅とは気が付かずにいましたが、知った後で写真を見返すと確かに歴史を感じます。おおよその印象では、ホームを覆う屋根は後年の改修と見られますが、壁やトンネルといった基本的な部分は開業当時のままと思われます。
【03】
昔は蒸気機関車が走行
とはいえ、それも昔の話。開業150周年を迎えた2013年1月には、記念イベントとして開業区間を含む路線を蒸気機関車が走行しました。
【04】
開削工法とシールド工法
【05】
吹き抜けに架かる構造物
この他の見所としては、ふたつの鉄骨構造物が挙げられます。ひとつは反対側のホームと行き来するための跨線橋(写真01・02)。地下鉄の駅空間に跨線橋とはなかなかユニークな光景です。もうひとつは駅舎を支える大きな鉄骨の梁(写真05)。どちらも上部がオープンな開削工法だからこそ、このように駅の空間構成が目に見える形で現れているといえます。
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Googleマップのキャプチャ
名称 | パディントン駅(ロンドン地下鉄) Paddington Underground Station |
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設計者 | 未確認 |
所在地 | ロンドン、イギリス Paddington Station, London W2 1HQ, UK |
用途 | 駅 |
竣工 | 1863年_註4 |
構造 | レンガ造 一部鉄骨造 |
交通 | 鉄道:ナショナル レールまたは地下鉄の Paddington 駅下車 |
マーカー左からパディントン駅、地下鉄パディントン駅
補註
- 地下鉄パディントン駅にはハマースミス&シティ線、ディストリクト線、サークル線、ベーカールー線の4路線が乗り入れている。本稿で紹介している最古級の部分はハマースミス&シティ線のホームであり、他の3路線は別のホームを使っている。
- 駅以外のトンネル部分にも所々に排煙用の吹き抜けが設けられている。
- ロンドン地下鉄は開削工法とシールド工法の路線が混在しているが、アンダーグラウンドとチューブで使い分けはせず、どちらの言葉も路線網全体を指している。
- パディントン駅を含む最初の区間は1863年1月10日に開業した。試運転のことも考えると、ほとんどの施工は前年までに完了していたはずだが、列車の走行に関わらない駅構内は開業日ギリギリまで工事を行っていた可能性が残る。筆者の調査では全ての工事を終えたのがいつなのかは分からなかった。よって、本稿では開業年を竣工年とする。
リンク
- パディントン駅、ロンドン地下鉄 ウィキペディア
- 日本地下鉄協会 > 世界の地下鉄 > イギリス ロンドン
- All About > 海外旅行 > ロンドン > ロンドンの空港・市内交通 > ロンドンの地下鉄
- Transport for London > Paddington
- LU150 Steam Train @ Paddington Underground Stn YouTube 150周年のイベントで蒸気機関車がパディントン駅を通過する映像
公開日:2013年1月17日、最終更新日:2013年1月18日 文章を微修正、撮影時期:2004年9月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1(Photoshopで修正)