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Wye全景(Google Mapのキャプチャ)
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【01】

カントリーサイドの普通の村

イギリスの魅力は多様で一言ではとても表現できませんが、ロンドンのような大都市よりもカントリーサイドと呼ばれる田園地帯にこそこの国の本質があると語る人は少なくありません。ロンドンの現代建築巡りを主たる目的にしていた私でしたが、田園地帯の小さな村を訪れたとき、その美しさに心を打たれずにはいられませんでした。
 
2004年9月、私はロンドンから南東方向に鉄道で90分ほどの位置にあるワイ( Wye )という村を訪れ、3〜4日ほど滞在する機会がありました。イングランド南東部では、チラムやライなどが古いまちなみが残っていて人気が高いのですが、それらに比べるとワイは特別な観光地ではありません。しかし、そんな普通の村でさえため息が出るほどの美しいところが、イギリスの魅力はカントリーサイドにありと言われる所以です。

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【02】

ワイの概要

ワイは、ケント州の主要都市であるアッシュフォードとカンタベリーのおおむね中間に位置し、人口は2300〜2400人程度。中心部は写真01・02・03のような感じです。一部の住宅に平屋が見られたものの、住宅・商店といった建物の大半はレンガ造の2階建でした。大きな建物としては大学施設(後述)と教会があります。実は筆者の従兄が当時この大学に研究者として留学していたので、イギリス旅行を兼ねて遊びに行った次第です。
 
村の歴史は中世まで遡ることができます。教会が建立されたのは13世紀、大学の前身となる神学校が設立されたのは15世紀ですが、それ以前から当地に人は住んでいたようです。もっとも、大半の建物の建設年代は19~20世紀頃ではないかと思われます。

本稿の構成

本稿ではワイのまちなみや建築、庭園などについて、以下のページ構成で述べていきます。なお、村の教会筆者の従兄が住んでいた住宅は別の記事で紹介しているので、そちらもご一読ください。

1ページ

1ページ(このページ)
ワイの概要
まちなみ、宿屋、駅舎
2ページ2ページ

2ページ
各種住宅、テラス/セミ デタッチド ハウスなど
3ページ3ページ

3ページ
大学(ワイ キャンパス)の校舎とマナーハウス、学生寮
4ページ4ページ

4ページ
大学の庭園
丘絵(ヒル フィギュア)

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【03】

宿屋

ワイに滞在中、筆者は従兄が入居していた大学の宿舎に二泊、そして村の宿屋に一泊しました。イギリスの伝統的な宿泊施設には B&B と inn(イン)の2種類がありますが、私が泊まった New Flying Horse という宿屋はインの方。インはもともと馬車で移動していた時代の旅籠(はたご)のようなものです。宿の名前に Horse (ホース=馬)が付いているのは馬車時代の名残でしょう。
 
インは基本的に1階がパブ(居酒屋)、2階がベッドルームという構成になっていて、もちろんパブは地元の人も利用します。実際にパブで飲んで上の部屋に泊まったわけですが、その雰囲気はまるでロールプレイングゲームに出てくる宿屋のようでした。

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【04】

客室

部屋の空きがなかったからか、一人旅でしたが案内されたのはツインルーム。それにしても客室の面積に対して暖炉が大きすぎることが最初は妙に感じましたが(右下の写真)、おそらく昔は大部屋だったところを間仕切りしたのでしょう。バスルームはこの暖炉の隣に設置されていて、レンガの壁が露出しています(写真04)。いささか強引な改修ですが、こんなストレートな方法でOKなんだとむしろ感心しました。

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【05】

駅と踏切

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次は駅について。ウィキペディアによればワイ駅は1846年に開業しており、レンガ造の駅舎はおそらく開業当時から変わっていないでしょう。それよりも目を引いたのが踏切の構造です。遮断機が水平方向に動くこの方式だと線路への人や車の進入を防ぐことができ、なるほどと思いました。
 
遮断機は日本ではほどんど無くなった手動式で、しかも、踏切係員は常駐ではなく列車が接近する頃に駅員が出てきて遮断機の開閉操作を行います。列車の本数が少ないからこそ可能な方法なのでしょうが、自動式に慣れた日本人としては、これで本当に大丈夫なのかと驚きました。

リンク

  1. Welcome to Wye(英語)
  2. Wye, Kent ウィキペディア(英語)

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スライドショー 13枚(写真をクリックすると次を表示、下辺にマウスカーソルを合わせるとサムネイルを表示します)

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