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新長浜ビル

概要

新長浜ビルは、別ページで紹介している 長浜ビルのすぐ近くに建つ福岡県住宅協会(現・福岡県住宅供給公社)が建設した集合住宅だ。幹線道路に面しているが、道路側の間口が狭い上にバルコニーがサッシで覆われたサンルーム型なので、これが集合住宅とは認識していない人が多いだろう。かくいう筆者も長らく見落としていた。

住棟は狭い間口に対して奥行きは非常に深く、街区の反対側の道路まで延びており、しかも面白いことに1階の通路は通り抜けができる。この通路の両側に住棟が並ぶ光景はツインコリダー型を思わせるが、両方の間口にも住戸が配置されているので、実際はきわめて細長いロの字型ということになる。狭い通路の両側に店舗が並んだ光景はまるで下町の横丁だ。もっとも、自然発生的な横丁ではなく、建物内に造られた奥行きの深い空間で商売が成立するのはなかなか難しい。上手くいくとすれば飲食店(特に飲み屋)だろう。新長浜ビルの場合もその種の店が多いが、飲食系以外の店舗や事務所も混在している。

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新長浜ビルは基本的に5階建なのだが、通路の西側(仮に西棟と呼ぶ)だけは2階建だ。西棟のみ低いのは東棟住戸の採光のため。というのも、同じように細長くて内部に吹き抜けを持つツインコリダー型の場合、両側の住棟ともバルコニーは外側に面して、内側(吹き抜け側)には共用廊下が配置される。これに対して新長浜ビルの場合、東棟だけは内側にバルコニーが面しているので、その採光のために一部2階建という変則的な階構成になっているのである。

左:長浜ビル、右:新長浜ビル

東棟のバルコニーが内側に面している、すなわち1階通路の上部にバルコニーがあることで、横丁的な商空間と生活空間が一体化した実に魅力的な空間が生まれている。香港といったアジアの猥雑な街角に通じる雰囲気がある。下層に店舗、上層に住戸という構成は俗にゲタバキアパートと呼ばれ、公団・公営住宅や民間マンションから最近の大規模複合施設にも見られる一般的なビルディングタイプだが、テナントと住宅は機能的・空間的に分離するケースが大半を占める。よって、新長浜ビルのように商空間と住空間が連続した建築は日本では意外と少ない。

初期の団地での類似例としては2つほど挙げることができる。ひとつは福岡市の須崎裏住宅(建て替え済み)で、やはり2つの住棟に挟まれた細長い吹き抜けの上下層で商空間と住空間が繋がっていた。もうひとつは広島市の京橋会館(現存せず)。ここは大きなロの字型住棟で、道路側だけでなく中庭にも店舗が配置されていた。ただ、筆者がこの2ヶ所を知ったときは既にほとんどの店舗が閉店していて賑わっていた頃の姿は見ていない。それ故、ある程度の活況を維持している新長浜ビルは貴重なのである。

データ

住所:福岡市中央区長浜2-4
竣工:1959(昭和34)年度
撮影:2010(平成22)年3月、2011(平成23)年7月

リンク

  1. 福岡R不動産ショップがストリートを変える~新長浜横丁~

作成日:2012/9/5、最終更新日:2015/3/30

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