市崎公団住宅
概要
市崎(いちざき)公団住宅は1961(昭和36)年に竣工した初期の市街地住宅だ。場所は西鉄大牟田線平尾駅の西側。北側の前面道路はかつて福岡市内を通っていた国鉄筑肥線の跡で、近くには筑前高宮駅があり、この地域はふたつの路線が交差する利便性の高いところだった。市営地下鉄の開業に伴い、市崎公団住宅の前を含む筑肥線の博多〜姪浜間は廃止され、JRへのアクセス性はやや低下したものの、西鉄大牟田線の沿線ということで今も交通の便は悪くない。
市崎公団住宅は5階建てで、1階に店舗が、2〜5階に住宅が入っている。28戸という住戸数は、公団九州支所の市街地住宅では上南町公団住宅(福岡市博多区)の24戸に次ぐ少なさだ。同じ28戸に冷泉公団住宅(同)がある。
建物の最大の特徴は、小さな窓(建築用語でポツ窓という)が整然と並んだ北立面だ。この窓は廊下の採光・換気のための開口部で、ひとつの階につき上下2ヶ所ずつ、2〜5階で縦方向に8個、横方向には13個、合計104個もある。九州支所はポツ窓を並べた立面が好みらしく、竹丘町三丁目市街地住宅などいくつか類似のデザインが見られるが、サッシのない単純な開口部の場合がほとんどで、コストをかけてまで全てにサッシを嵌めているのは市崎公団住宅くらいだろう。また、市街地住宅は道路にバルコニーを見せない設計が基本だが、西側は幹線道路ではないからか、市崎公団住宅の西立面はバルコニーが設けてある。
2〜5階は交差点の角地に沿ってL字型に建っていて、内側は1階の屋上を囲んでいる。1階屋上は何も利用されていない。そして、その片隅に突き出す形で管理人室があり、現在は倉庫か何かのようだが、造り付けの受付カウンターが残っている。
データ
住所:福岡県福岡市南区1-1-22
竣工:1961(昭和36)年
撮影:2013(平成25)年10月
リンク
作成日:2014/2/19、最終更新日:同左