大手門公団住宅
概要
大手門公団住宅は1965(昭和40)年に竣工した市街地住宅である。福岡城趾のお堀沿いという恵まれた場所に建っている。1〜2階が事務所で3〜9階が住戸だ。2階を片持ちで出すことで低層と高層の区別を付けているが、この手法と2階立面の外観は
博多駅前二丁目市街地住宅(同市博多区、1971・昭和46年)に受け継がれている。
上層の住戸階のうち、道路側立面は市街地住宅のセオリー通りバルコニーではなくサンルームが設置されている。柱型を見せる立面は福岡の市街地住宅ではあまり例がない。腰壁は茶色と白のタイル貼り。下部の白タイルは梁をイメージしているのだろう。といっても実際の梁せいはもう少し大きいはずであり、タイルの割り付けは意匠的なバランスで決定されている。
住戸階はL字型をしていて、平面的には中廊下と片廊下が組み合わされている。右の写真は住戸階の平面図を簡略化した案内図だ。線が消えかかって分かりにくいかもしれないが、1階の住戸用エントランスホールに掲示されていた案内図は、片持ちで床面積を拡張した2階の外壁ラインで描かれている。一方、3〜9階のエレベーターホールの案内図は実際の外壁ラインである。
上層の住戸階のうち、道路側立面は市街地住宅のセオリー通りバルコニーではなくサンルームが設置されている。柱型を見せる立面は福岡の市街地住宅ではあまり例がない。腰壁は茶色と白のタイル貼り。下部の白タイルは梁をイメージしているのだろう。といっても実際の梁せいはもう少し大きいはずであり、タイルの割り付けは意匠的なバランスで決定されている。
1階エントランスホール(左)と9階エレベーターホール(右)の案内図
つまり、エントランス側は間違ったまま長年使われていたことになる。おそらく、サイン業者へ指示を出した際のミスだろう。施工者や設計者が見ればすぐ気付くはずであり、住戸の位置を示すという目的においては支障がないとはいえ、作り直しがされなかったところに、昔のおおらかさが感じられる。
大手門公団住宅はURの手を離れ、2012(平成24)年の時点でテナントや入居者の退去が完了して空き家の状態であったが、2013(平成25)年3月末より解体工事が始まった。
データ
住所:福岡県福岡市中央区大手門1
竣工:1965(昭和40)年
撮影:2010(平成22)年7月、2012(平成24)年12月、2013(平成25)年3月
備考:現存せず
作成日:2012/11/29、最終更新日:2013/4/6 写真を6枚追加