旧 神戸製鋼所門司工場社宅（小森江アパート）

概要

福岡県北九州市門司区の関門海峡沿岸部は明治時代から工業地帯として発展したところだ。その中心的な役割を担ったのは神戸市に拠点を置く総合商社の鈴木商店で、同社は1927（昭和2）年に破綻したが、その流れを汲む各社の工場は現在も門司で操業している。鈴木商店系の神戸製鋼所が門司工場を建設したのは1917（大正6）年のこと。1949（昭和24）年、企業再建整備法に基づき、門司工場は分離されて神鋼金属工業となる。1957（昭和32）年、神鋼金属は神戸製鋼所と合併して再合流。1988（昭和63）年、組織改編に伴い、門司工場は神鋼メタルプロダクツとして分社化され現在に至る。

その門司工場の近くに1棟の古い鉄筋コンクリート造集合住宅が建っている。最新の地図には「小森江アパート」としか載っておらず、現地にも会社名は一切見当たらないが、過去の住宅地図から門司工場の社宅だと判明している。現地の案内板に小森江アパートと書かれているということは、昔からこの名前だったのだろうか。現在も神鋼メタルプロダクツの社宅なのか、民間アパートに切り替わっているのかは未確認。ただ、不動産サイトで「小森江アパート」を検索してもヒットしない。社宅の管理を民間に委託した可能性も考えられる。

『福岡県住宅復興誌 I 』には「昭和29年度厚生年金住宅建設実績　門司市　神鋼金属工業門司工場　耐火　24戸」とある。門司工場は他の場所にも社宅があったので、これが小森江アパートを指すのかどうか断定はできないが、戸数が一致するのでその可能性は高いだろう。