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旧 三井物産社宅

概要

本州と九州を隔てる関門海峡の両岸の街である山口県の下関と福岡県の門司は、戦前に貿易港として栄えていた。両市とも近代建築が建ち並び、門司市(現在は北九州市門司区)には三井物産が鉄筋コンクリート造の立派なビル( 旧三井物産門司支店)を建てたほどである。このビルが竣工したのは1937(昭和12)年だが、同社はそれ以前から門司に進出しており、社宅もいち早く完備していた。

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旧三井物産社宅は門司の郊外である谷町に明治末期に建てられた。 セミ デタッチド ハウスが数棟と社員寮が1棟に加えてクラブハウス(旧門司三井倶楽部、1921・大正10年)まであり、ちょっとした社宅街を形成していた。このクラブハウスは前述の支店ビルの真向かいに移築保存されて観光施設に利用されている。本稿ではクラブハウス以外の建物を紹介する。

社宅街のメインとなる建物は木造2階建てで1棟につき2戸が左右対称に入っていて、イギリスでセミ デタッチド ハウスと呼ばれる住宅に似ている。もっとも、隣棟間隔が狭く庭がほとんどない点はイギリス的ではない。外観の特徴としては切妻の大屋根、出窓・ドーマーウインドウの多用、玄関ポーチの柱の3点が挙げられる。ポーチの柱は片側のみという点はバランスに欠けるが違和感はそれほどない。しかも エンタシスがきちんと付いている。

一番右が旧三井物産社宅

この社宅の竣工年は確定していないがだいたい1907(明治40)年頃とされている。筆者が2005(平成17)年に訪れた時点で4棟が一般住宅として現存。ただし竣工当初から4棟だったかは分からない。これら4棟は2007(平成19)年に、つまりほぼ100年目にすべて解体された。

もうひとつの社宅である社員寮は菱和荘という名前だった。竣工年は書籍やネットに複数の説が載っていてはっきりしない。菱和荘は左右対称形ではないが、セミ デタッチド ハウスと同じく切妻の大屋根にすることで統一したまちなみができていた。現在は「カボチャドキヤ国立美術館」という名前の個人美術館になって、外観は個性的な色に変わっているが、保存状態は良さそうである。

データ

住所:福岡県北九州市門司区谷町2
竣工:1907(明治40)年頃
撮影:2005(平成17)年4月
備考:社員寮のみ現存

リンク

  1. レトロな建物を訪ねて旧三井物産社宅


作成日:2013/6/27、最終更新日:同左

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