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奈良屋ビル

概要

奈良屋ビルは福岡市博多区の博多小学校の裏に建っている民間の集合住宅である。設計者や竣工年といったデータは一切不明だが、国土変遷アーカイブに載っている米軍が1956(昭和31)年に撮影した航空写真にはそれらしき建物が写っていなかったので、それ以降の竣工なのは間違いないだろう。

建物は鉄筋コンクリート造4階建のL字型住棟で、集合住宅のプランとしては片廊下型だ。ただし、一部は中廊下型になっている。1階は駐車場に使われているが、昔は店舗や事務所が入っていたはずだ。いわゆるゲタバキアパートである。

奈良屋ビルの道路側立面は、無装飾の外観に白い外壁色、横長連続窓という純粋なモダニズムスタイルで設計されている。そこに、筆者のような団地マニアは公団初期の市街地住宅に通じる魅力を覚える。屋外型のバルコニーを設けなかったのは、洗濯物のような生活臭の表出を避けたかった、住居よりも事務所利用を主に想定していた、といった理由が考えられる。一方、L字型住棟の内側はごく普通の片廊下だが、現在と比べると桟の見付が細いことやツヤ消し塗装のために手すりが目立たず、立面や廊下の片持ちスラブがよく見えるのが新鮮な印象だ。

階段はL字型住棟の中央と両端の計3ヶ所にあり、両端は片廊下の外側にさらに片持ちで付いている。住戸数と駐車台数を稼ぐために結果的にこうなったのだろうが、浮遊感のある魅力的な階段だ。

データ

住所:福岡市博多区奈良屋町1
竣工:昭和30年代?
撮影:2012(平成24)年4月

作成日:2012/8/25、最終更新日:同左

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