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スライドショー 26枚(写真をクリックすると次を表示、下辺にマウスカーソルを合わせるとサムネイルを表示します)

志免炭鉱 竪坑櫓 内部

概要

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志免炭鉱の竪坑櫓は、鉄筋コンクリート(RC)造の5階建ビルを柱・梁で丸ごと持ち上げたような形をしている。三池炭鉱などに見られる、いかにも「櫓」と呼ぶに相応しい鉄骨造の台形構造物に比べると、志免炭鉱の櫓は異質な姿だ。この違いは端的に言えば巻き揚げ機をどこに設置するかによる。台形櫓の場合は巻き揚げ機は櫓に隣接する建屋内にあったのに対して、志免炭鉱では上部のビル状部分に置かれていた。巨大な巻き揚げ機を支えるために、太い柱・梁が必要だったわけである。

このように巻き上げ設備と櫓が一体化したタイプは、ワインディング タワー式とかハンマーコプフ型と呼ばれていて、実はどちらも正確な形式名とは言い難いところがあるが、今となってはあまり厳密性に拘る必要もないだろう。なお、ネット上では「ワインディング タワー式は志免炭鉱を含め世界に3基しか残っていない」という記述が散見されるが、実際は北海道の羽幌炭鉱にも現存している。ただし、羽幌炭鉱の竪坑櫓は全体が外装材に覆われていて、見た目はタワーパーキングに近い。ビル型の巻き揚げ機室を柱・梁で支える構造が一目で認識できる形状、という意味では、志免炭鉱、中国・撫順市の龍鳳炭鉱、ベルギー・リエージュ州のトランブルール炭鉱の3ヶ所しか残っていないと考えて差し支えあるまい。

志免炭鉱竪坑櫓は基本的に「見守り保存」という形で保存されており、櫓の真下に近付いたり、ましてや内部への立ち入りは禁止されている。 このページに掲載した内部写真は、関係者のご厚意で特別に見学させていただいたときに撮影したものである。内部見学について筆者に質問されても一切お答えできない。また、志免町や「志免立坑櫓を活かす住民の会」にも決して問い合わせしないようにお願い申し上げる。

以下、何枚かの写真について簡単な説明を付けておく。
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入口の庇は現在の荷捌き場にも一般的に見られる形状だが、鉄骨造ではなく、構造的に不向きである引張材までもRC造としている点がユニークだ。
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石炭を運び出していた炭車(トロッコ)軌道のレールが底部に残っている。
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中央のスパンのみ梁がない。この空間に巻き揚げ機と竪坑を結ぶケーブルが通っていた。吹き抜けの上部に滑車やケーブルの開口部が見えている。
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低層部にはブレースが入っている。
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ガイドプーリー室。滑車(プーリー)を設置していた床の開口部を真っ直ぐ見たところ。
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左記の開口部から見下ろしたところ。直接覗き込むのは怖かったので、カメラだけ突き出してノーファインダーで撮影した。
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3層吹き抜けの巻き上げ機室。ここに置かれた巻き揚げ機からワイヤーでケージを吊り下げ、櫓直下の竪坑内を上下に移動させていた。
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図面上、竪坑櫓は9階建で、6F ガイドプーリー室、7F ブレーキ室、8F 巻き揚げ機室になっている。エレベーターは地下1Fと地上1・8Fのみ着床。

データ

撮影:非公開
カメラ:Nikon D50 + SIGMA 18-200mm F3.5-6.3 DC

リンク

LinkIcon廃墟徒然草 -Sweet Melancholly- > 志免鉱業所竪坑櫓 #01#02#03#04 内部の写真と解説あり。

参考文献

『ワンダーJAPAN』11号 志免炭鉱竪坑櫓内部レポート 地上50mの《異空間》、三才ブックス

作成日:2012/4/24、最終更新日:同左

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