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宝満宮竈門神社 社務所

概要

竈門神社の社務所は2012(平成24)年に建て替えられた。拝殿・本殿に向かう階段の脇の斜面に建っていて、地下1階、地上1階の鉄筋コンクリート(RC)造だ。地上1階には社務所の他、お守りの授与所(神社の場合、売店とはいわない)や祈願を受ける人の待合室等が、地下1階には宝物の収蔵庫が入っている。

社務所の全体的な建築設計を手掛けたのは神社建築のプロである種村強氏。社務所は拝殿側と斜面側でイメージが大きく異なり、拝殿側に面した地上1階部分は、むくりがついた銅板葺きの寄棟屋根や、仕上げの一部に木を使用するなど、拝殿・本殿と調和する伝統的なデザインを基調としている(写真01)。一方、斜面側の立面は一部をコンクリート打ち放し仕上げにしたり、テラスを大きく張り出したり、1階開口部やテラスの腰壁にガラスを多用するなど、モダンなテイストになっている(写真02)。また、拝殿側においても授与所の開口部や庇にはガラスが用いられ、モダンと伝統が上手く調和している(写真03)。

建築本体の設計とは別に、授与所のインテリアについてはインテリアデザイナーの片山正通氏が担当した。淡いピンクを基調とした石貼りの内装やシンプルな什器という、従来の神社建築らしからぬデザインながらも、現地の空間と違和感なく融合している。さらに、テラスのベンチは片山氏の紹介により世界的なプロダクトデザイナーのジャスパー モリソン氏が手掛けた(写真04)。御影石製の回転ベンチという難しい要件をシンプルかつ存在感のあるデザインにまとめた、実に高度な仕事である。

このように神社のプロジェクトに他分野の人材が起用されたのは、宮司の理解力によるところが大きい。竈門神社の宮司は太宰府天満宮が兼任しているが、太宰府天満宮第39代宮司の西高辻信良(にしたかつじ のぶよし)氏やご子息で権宮司の信宏(のぶひろ)氏は、アート全般への造詣が深く、天満宮は現代アート作家とコラボレーションしたイベントを積極的に行っている。竈門神社の社務所もその一環に位置付けられるだろう。

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データ

設計:種村強(建築)、片山正通(授与所のインテリア)、Jasper Morrison ジャスパー モリソン(テラスのベンチ)
竣工:2012(平成24)年
撮影:2014(平成26)年3月

作成日:2014/9/13、最終更新日:同左

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