桜湯
概要
桜湯(櫻湯)は福岡市中央区清川にあった銭湯だ。小規模ながらコの字型の両翼に入母屋が載った堂々たる正面(ファサード)で、いかにも銭湯らしい魅力的な建築だったが、2014(平成26)年12月から解体工事が始まった。筆者は把握していなかったが既に廃業していたらしい。
戦前の清川地区は新柳町遊郭という歓楽街だった。福岡市にはもともと柳町遊郭が石堂川(御笠川)の河口付近(博多区大博町・石城町)に存在したが、福岡医科大学の帝国大学(現・九州大学医学部)昇格に際し、近隣に遊郭があるのは好ましくないとして1910(明治43)年にこれを住吉村(当時)に移転させ、新柳町遊郭となった。戦後はいわゆる赤線として存続し、1958(昭和33)年の売春防止法完全施行により消滅。1962(昭和37)年、町名が清川に改称された。
かつての新柳町遊郭は通称「清川ロータリー」の北側から那珂川沿いに広がっていて、桜湯の位置は遊郭の外だが、その派手なデザインは遊郭の影響だと考えていいだろう。ただ、正確な竣工年は分からない。
データ
住所:福岡県福岡市中央区清川3-24-2
撮影:2012(平成24)年5月、2015(平成27)年1月
備考:現存せず
参考文献
- 『赤線跡を歩く2 続・消えゆく夢の街を訪ねて』木村聡、自由国民社
作成日:2015/1/11、最終更新日:同左