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安川電機本社

概要

安川電機は、明治鉱業という炭鉱会社を営んでいた安川敬一郎やその息子の清三郎氏・第五郎氏らが1915(大正4)年に興した会社で、当初は炭鉱用の機械を製作していた。現在は産業用ロボットをはじめとするメカトロニクス製品の大手メーカーとして有名だ。地方で創業した会社が大企業に発展すると、本社を東京に移転する場合が多いが、安川電機は今も創業地である福岡県北九州市に本社と工場を置いている。
 
1954(昭和29)年に竣工した同社の旧本社屋とこれに付属する講堂を設計したのはアントニン レーモンドである。当時の安川電機社長 安川寛氏の従兄で非常勤取締役であった安川泰一氏が、レーモンドの戦後初期の代表作 リーダーズ ダイジェスト東京支社(現存せず)を見て、本社屋の設計者に推薦した。
 
旧本社屋は北棟と南棟のふたつで構成された鉄筋コンクリート(RC)造の3階建てで、構造形式はラーメン構造。端正な外観に縦型と横型のルーバーが目を引く。これは鋼製で可動はしない。なお、後年に南棟の一部が道路の拡幅工事に引っかって減築された。減築してでも戦後初期の建築を使い続け、減築側立面の窓に当初のルーバーを再製作して設置するなど、戦後初期のレーモンド建築を大切に使い続けた安川電機であったが、創業100周年事業による本社敷地内の再編計画に伴い、2015(平成27)年に旧本社屋は解体された。跡地は庭園になり、本社機能は敷地内の新棟に移転した。
 
一方、講堂はRC造1階建てで構造形式はシェル構造。こちらは解体を免れ、安川電機を歴史を紹介する「歴史館」として2016(平成28)年4月に開館する予定だ。先に同社の製品や技術力を紹介する「安川電機みらい館」が開館しており、歴史館の完成で過去と未来の展示が揃うことになる。みらい館の見学は団体のみの予約制のため、歴史館も同様の対応が予想されるが、個人でも庭園への入場はできそうなので、その機会が得られれば改めて報告したい。また、旧本社屋エントランスのキャノピー(RCシェル)と社屋の柱の一部も保存されている。
 
スライドショーの写真は全て敷地の外から撮影したもので、現役時 → 解体中 → 解体・整備後の順に掲載。旧本社屋は減築後の状態である。

データ

住所:福岡県北九州市八幡西区黒崎城石2-1
設計:アントニン レーモンド
竣工:1954(昭和29)年
撮影:2010(平成22)年2月

リンク

  1. 収蔵庫・壱號館安川電機本社
  2. 安川電機アントニン・レーモンド ウィキペディア

参考文献

  1. 『北九州地域における戦前の建築と戦後復興の建築活動に関する研究』尾道健二・内田千影・開田一博、北九州産業技術保存継承センター・九州共立大学

作成日:2013/7/28、最終更新日:2016/3/3

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