日吉市場
概要
福岡県久留米市の日吉市場は、昔は本来の意味の「市場」だったと思われるが、現在は飲食店街になっている。現地には「日吉村」との看板が掲げられ、その名称の方が普及しているようだが、木造市場を収集する当サイトとしてはあえて日吉市場と呼ぶ。西鉄久留米駅の西側には大小の商店街や飲食店街が集積していて、そのほとんどが隣接関係にある中、日吉市場は単独で存在している。
日吉市場の全体像は、2階建ての木造長屋が路地に沿って建ち、その路地に木造アーケードが架かるというものだ。ただし、大通り(明治通り)側の出入口付近は、建物の解体によって支えを失ったため、鉄骨造に建て替えられている。路地の形状は、手で影絵のキツネを表現したものに似ている。その“口”にあたる部分には、ふたつのアーケードが連なって広い半屋外空間が生まれている。こういう場所で飲み食いしたら楽しそうだが、活用されているようには見えなかった。もっとも、これは筆者が訪れたのが寒い冬だったためかもしれない。
アーケードの部材の組み方は決して上手いとは言い難い。しかし、不思議な魅力を感じることも確かだ。この稚拙さはバナキュラーな(土着的な)建築というよりはバラック建築に近い。
データ
住所:福岡県久留米市日吉町
撮影:2013(平成25)年12月、2014(平成26)年1月