勝山市場
概要
勝山市場は長崎市にある市場だ。細長いスロープ状の敷地に細長い木造長屋が建っている。実はこの場所は路面電車の長崎電気軌道 桜町支線の廃線跡であり、当初、桜町支線は古町の交差点で蛍茶屋支線から分岐していたが、1954(昭和29)年3月に現在の公会堂前交差点に切り替えられた。隣の駐車場に露出している底部の石積みは、路面電車時代の遺構だろう。当然、勝山市場ができたのは軌道の切り替え後なので、おおよそ1955(昭和30)年頃の竣工と思われる。
市場は2階建ての木造長屋で、通路の両側に店舗が並んでいる。2階は店主の住居だろう。ただし、営業中の店は少なく、空き店舗が目立つ状況だ。建築的には通路空間が実に面白い。通路は2層分の吹き抜け空間になっていて、天井を張らずに小屋裏が露出。通路の幅の狭さに対して上部が極端に高い。一般的なアーケード商店街は、通路の両側に別々の建物が並び、それとは構造的に独立したアーケードが上部を覆う場合が多いのに対し、勝山市場は全体がひとつの建物であり、その中心軸を吹き抜け状の通路が貫通するという構造だ。2階居室と小屋裏の間に空隙が確認できることから、屋根が二重に存在するように思えるが、隣接駐車場から見ると通路の上は越屋根になっていることが分かる。
また、吹き抜けの2階部分には、おそらく水平方向の外力を負担する目的で、垂れ壁が一定間隔で設置されている。垂れ壁の上部も隙間が空いているのは、越屋根の換気を損ねないためだろう。
また、吹き抜けの2階部分には、おそらく水平方向の外力を負担する目的で、垂れ壁が一定間隔で設置されている。垂れ壁の上部も隙間が空いているのは、越屋根の換気を損ねないためだろう。
データ
住所:長崎市桶屋町
竣工:1955(昭和30)年頃?
撮影:2011(平成23)年7月
リンク
- アトリエ隼 仕事日記 > 路面電車の軌道跡につくられた、勝山市場
- 建築マップ > 長崎市の木造市場 筆者が「建築マップ」にUPした長崎市の木造市場をまとめた記事
作成日:2014/4/20、最終更新日:同左