キングス クロス駅
King's Cross Station
概要
世界に先駆けて鉄道が発達したイギリスでは、各鉄道会社がロンドンと地方を結ぶ路線を競うように敷設した結果、頭端式ホームを持つターミナル駅が市内に何カ所も出現した。キングス クロス駅とセント パンクラス駅が並ぶ光景はその歴史の象徴といえよう。
キングス クロス駅はグレート ノーザン鉄道の駅として1852年に開業した。ルイス キュービックが設計した駅舎は、ロンドンの主要駅の中では比較的地味なデザインだ。ゴシック様式のセント パンクラス駅(1868年開業)と比較すると地味さがより際立っている。
キングス クロス駅は『ハリー・ポッター』シリーズの舞台となったことで一躍有名になった。ホグワーツ特急が出発するとされるホームはもちろん架空の存在だが、映画公開後、駅構内に「Platform 9¾」のプレートが掲げられた。ただし、9番線と10番線は実際には隣接していない。また、森薫のマンガ『エマ』の2巻でこの駅を見た方もいるだろう。ロンドンを離れるエマをジョーンズが追いかけるも列車は発車した後で、閑散としたホームにジョーンズが立ちすくむシーンが印象的だった。
キングス クロス駅はグレート ノーザン鉄道の駅として1852年に開業した。ルイス キュービックが設計した駅舎は、ロンドンの主要駅の中では比較的地味なデザインだ。ゴシック様式のセント パンクラス駅(1868年開業)と比較すると地味さがより際立っている。
筆者が現地を訪れた2004年当時、両駅とその周辺は再開発事業が進んでいた。セント パンクラス駅は、ユーロスター乗り入れに伴う増改築工事のために残念ながら立ち入りできなかった(駅機能は旧ホームの先に移動)。一方のキングス クロス駅はまだ工事が始まっていなかった。つまり、ここに掲載した写真は改修前の状態である。
その後、ジョン マッカスラン&パートナーズ事務所とアラップが担当してキングス クロス駅の大がかりなリノベーションが実施され、ロンドン オリンピックに合わせる形で2012年に完成した。その主な内容は、美観を損ねていた後年の増築部分を撤去して当初の建築を復元したことと、新たなコンコース空間の増築である(詳しくは下記リンク先を参照)。
データ
住所:イギリス ロンドン
設計:ルイス キュービット
竣工:1852年
撮影:2004年9月
リンク
- キングス・クロス駅 ウィキペディア
- 日経ケンプラッツ > “ハリー・ポッターの駅”をエレガントなシェルが覆う
- dezeen > John Mcaslan + Partnersの手がけた「キングス・クロス駅」
参考文献
『イギリス鉄道の旅』2004-05年版、ダイヤモンド社
作成日:2013/1/19、最終更新日:同左