パディントン駅
Paddington Station
概要
パディントン駅はグレート ウェスタン鉄道のターミナル駅として1854年に開業した。現在もロンドンの主要な駅であり、ヒースロー空港とロンドンを結ぶ直行列車が発着することから、ロンドン市民だけでなくイギリスを訪れる外国人も多くがパディントン駅を利用している。なお、今の駅舎は2代目である。設計したのは同鉄道の技師長ブルネルと建築家のワイアット。ブルネルは建築物・土木構造物から蒸気機関車や蒸気船の設計まで幅広く活躍したエンジニアで、イギリスの歴史上の偉人に位置付けられている。ちなみに、鉄道分野の国際的な賞であるブルネル賞は彼に由来する。
パディントン駅のホームは頭端式で、その上部をヴォールト型の大屋根が覆っている。これはヨーロッパのターミナル駅によく見られる空間構成だ。イギリスの場合、鉄道黎明期に各鉄道会社がロンドンから各地に延びる路線を競うように建設したため、頭端式の駅が市内に複数存在する。パディントン駅もそのひとつ。空間の迫力でいえば、パディントン駅とセント パンクラス駅が双璧を成すのではなかろうか。
また、ニコラス グリムショーの設計で1990年代末に駅舎の増改築が行われた。主な内容はコンコース上の構築物の整理、屋根の補修、ヴォールトの妻壁にかつてあった装飾(トレサリー)の復活、商業施設の増築である。