宮田山トンネル
概要
宮田山
くろがね線の他の部分と同じく、トンネルは沼田尚徳(ひさのり)ら八幡製鐵所土木部が設計した。土木構造物にも意匠性を重んじる沼田の意向によって、宮田山トンネル両端の坑口にはそれぞれ手の込んだデザインが施されており、八幡側坑口は両側に付柱を、上部にペディメントを配した正統派のルネサンス様式、一方の戸畑側坑口は城郭をイメージした自由なデザインである。どちらも材質は花崗岩。なお、奇妙なことに、両方とも扁額のスペースは確保され、本来なら「宮田山隧道」とでも刻まれているはずなのに、なぜか空白のままになっている。『八幡製鐵所土木史』に載ったトンネルの竣工写真が『福岡県の近代化遺産』に転載されているのだが、それを見ると竣工時も空白だ。これほど立派な坑口を造りながらなぜ扁額を付けなかったのだろうか。何か複雑な事情があるのかもしれないが、詳細は不明である。
八幡側坑口
同左、扁額部分
戸畑側坑口
同左、扁額部分
データ
住所:福岡県北九州市八幡東区宮田町・戸畑区西大谷1
設計:沼田尚徳 / 八幡製鐵所土木部
竣工:1930(昭和5)年
撮影:2010(平成22)年7月
参考文献
『北九州の近代化遺産』北九州地域史研究会、弦書房
『福岡県の近代化遺産』福岡県文化財調査報告書第113集、福岡県教育委員会
作成日:2013/10/19、最終更新日:同左