炭車
概要
炭車(たんしゃ)とは石炭を運ぶための貨車である。積載量によって大型から小型までいくつかの種類があるが、本稿では炭鉱の構内軌道(ナローゲージ)で使われた小型の炭車について述べ、旧国鉄の石炭用貨車(セラ、セキ等の石炭車)のような大型車両には触れない。
炭車は近代化初期の段階では木製(写真01右)で、後に鋼製(写真01左・02・03)が登場するが、木製も引き続き使用されていた。石炭の積載量は0.5〜1.0t程度。炭車を動かす方法は初期の頃は馬に牽かせるか人力で押し、炭鉱の機械化に伴い電気機関車や
エンドレス線での牽引へと進化した。ただ、ほんの短い距離の移動や、機械化するための経済力に乏しい小規模炭鉱においては、戦後も手押しが続いていた。
これらの炭車は、主に坑道先端の採掘現場から地上の貯炭場までの石炭輸送に活躍した。その先は大きな石炭車で国鉄路線を通じて運ばれることになる。貯炭場では高架橋から石炭を投下するわけだが、炭車の中には投下しやすいよう荷台が側方に傾くタイプもあった(写真01左右・02)。写真02は通称ナベトロ(ナベ型のトロッコという意味)と呼ばれ、炭鉱だけでなく土木工事の土砂や採石の運搬などにも用いられていた貨車である(リンク1)。荷台が固定された炭車の場合は人力で強引に傾けるしかなかったが、後にチップラー(カーダンパーとも)という設備が登場した(写真04、リンク2・3)。これは筒状の枠の中に炭車を入れ、枠ごと回転させて炭車をひっくり返し、石炭を投下する仕組みである。
木製炭車とそれを押す女性の再現展示(宇部石炭記念館、山口県宇部市)
これらの炭車は、主に坑道先端の採掘現場から地上の貯炭場までの石炭輸送に活躍した。その先は大きな石炭車で国鉄路線を通じて運ばれることになる。貯炭場では高架橋から石炭を投下するわけだが、炭車の中には投下しやすいよう荷台が側方に傾くタイプもあった(写真01左右・02)。写真02は通称ナベトロ(ナベ型のトロッコという意味)と呼ばれ、炭鉱だけでなく土木工事の土砂や採石の運搬などにも用いられていた貨車である(リンク1)。荷台が固定された炭車の場合は人力で強引に傾けるしかなかったが、後にチップラー(カーダンパーとも)という設備が登場した(写真04、リンク2・3)。これは筒状の枠の中に炭車を入れ、枠ごと回転させて炭車をひっくり返し、石炭を投下する仕組みである。
【01】
【02】
【03】
【04】
データ
所在地:福岡県田川市大字伊田2734 田川市石炭・歴史博物館
撮影:2014(平成26)年2月
リンク
- 那珂川清流鉄道保存会 > 保存車両 > 軌間610mm > ナベトロタイプA-1.2.3
- 津軽軽便堂写真館 > 山野炭鉱の凸型電機1 > 3ページ目
- カーダンパー ウィキペディア
- NHK戦争証言アーカイブス > 日本ニュース第167号 増産に励む炭鉱<吾ら斯く戦う逞し銃後> 高架の先端に縦方向に回転するチップラーが付いていて、そこから炭車の石炭を投下する場面が映っている。
作成日:2014/9/23、最終更新日:同左