photo00
唐津市少年科学館 ( 1/2 )
Karatsu Children's Science Museum
佐賀県唐津市
photo01

【01】
photo02

【02】

謎の「船」

その不思議な「船」の存在に気付いたのは、佐賀県の唐津城を訪れたときのことでした。唐津湾に面した高台に建つ唐津城からは、唐津市のまちなみや日本三大松原として有名な“虹の松原”を望むことができます。筆者が石垣の上から周囲の景色を眺めていると、海岸にやや大きな「船」が停泊しているのが目に止まったのです(写真01)。
 
白い船体にブルーのラインが入っている格好いい「船」で、客船かと思ったのですが、船の周りをよく観察すると何か変。船体が陸地に囲まれているではないですか。係留した船の周囲を埋め立てた? そこまでするとは、何か歴史的に重要な船なのでしょうか。しかし、唐津にそのような保存船があるなんて聞いたことがありません。

photo03

【03】

「船」の正体は…

そんなことを考えながら近付くにつれて、「船」にしてはどこか違和感があると思い始めました。船体の質感がどう見てもコンクリートのような… コンクリートの船なんて珍しい、そこまで考えてようやく「船」の正体に気付きました。そう、船の形を模した建築物だったのです。
 
photo20
建物の正体は唐津市少年科学館。場所は唐津市の浄水センター(下水処理施設)敷地内で、その管理棟も併設されています。下階が浄水センターで上階に科学館が入っている模様。写真03の「船首」にある丸い部分は科学館の天体観測ドームです。
photo04

【04】

優れたプロポーション

天守閣や西洋建築、乗り物などに模倣したものを建設して地域のシンボルにするやり方はよく見られます。しかし本格的な復元はともかく、たいていは簡素化やデフォルメされるため、どうしても不格好な建物になってしまいがちです。
 
ところが唐津市少年科学館は出来が違います。ある程度近付くまで本物の船だと思っていたのは決して誇張ではありません。確かに間近で見ると細部が簡素化されているのが分かるものの、遠目にはじゅうぶん船のように見えます。これは、全体的なプロポーションが優れているからでしょう。設計者など詳しい情報は不明ですが、もしかしたら何か実在する船を参考に設計したのかもしれません。
 
ここは観光ガイドでは紹介されていない穴場的な施設ですが、建築ファンならキワモノと敬遠せず、唐津を訪れる機会があれば一度は見ておくことをお勧めします。

建物名

唐津市少年科学館

Karatsu Children's Science Museum

唐津市浄水センターも併設

設計者

未確認

所在地

佐賀県唐津市二夕子3-1-6

用途

博物館、汚水処理施設

竣工

未確認

構造・規模

構造:鉄筋コンクリート造

階数:地下2階 地上4階

交通

鉄道:西唐津駅で下車 徒歩15分程度


公開日:2008年12月13日、最終更新日:2013年4月13日 文章と写真を修整し、スライドショーを追加、撮影時期:2005年5・8月
カメラ:Panasonic LUMIX DMC-FX1、Nikon D50(Photoshopで修正)

inserted by FC2 system