【07】中央奥の棚には死没者名簿が納められている
地下の追悼空間
この列柱は、ゴシック様式の教会建築をイメージしていると見ていいでしょう。もちろん直接的な引用ではなく、ゴシックが持つ垂直性の要素を抽象化して取り入れています。
しかも、本来なら荷重を負担すべき柱がガラスに置き換えられたことで(つまり構造的には柱は必要ない)、物質的な存在感が希薄になっています。コンクリート打放しの地下空間に並ぶ結晶のようなガラスの柱─この幻想的な場所に身を置くと、雑念が消えて純粋に祈りを捧げる気持ちになります。
名称 | 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館 Nagasaki Natinal Peace Memorial Hall for the Atomic Bomb Victims |
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設計者 | 栗生明 / 栗生総合計画事務所 KURYU Akira / A.KURYU ARCHITECT & ASSOCIATES 国土交通省九州地方整備局営繕部 Kyusyu Regional Development Bureau |
所在地 | 長崎市平野町7-8 |
用途 | 祈念館(追悼施設) |
竣工 | 2003(平成15)年 |
構造・規模 | 構造:鉄筋コンクリート造、階数:地下2階 地上1階 建築面積:50.49m2、延床面積:2,999.58m2 |
交通 | 鉄道:長崎電気軌道(路面電車)浜口町駅下車 |
備考 | 第19回村野藤吾賞 第46回建築業協会賞(BCS賞)他複数受賞 宗教施設ではありませんが厳粛な祈りの場ですので、見学時は節度ある行動をお願いします。 |
左から長崎原爆資料館、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館
補注
- 7万人は1945年12月までの推計死没者数。なお、2010年8月9日現在で死没者名簿には約15万人の方々のお名前が記されている。
参考文献
- 『新建築』2003年8月号、新建築社
- 『建築MAP 九州/沖縄』143頁、TOTO出版
リンク
公開日:2004年7月14日、最終更新日:2011年7月23日、撮影時期:2003年11月・2009年12月
カメラ:Nikon COOLPIX775、Nikon D50(Photoshopで修正)