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石貝団地

概要

佐賀県三養基(みやき)郡みやき町は、中原町・北茂安(きたしげやす)町・三根(みね)町の3町が2005(平成17)年に合併してできた町だ。石貝団地は旧北茂安町の町営住宅として1989(平成元)年に竣工し、合併後はみやき町が管理を引き継いでいる。福岡から佐賀県にかけて広がる筑紫(つくし)平野の丘陵地の中腹に石貝団地は位置する。

住棟は3~4階建ての階段室型板状住棟。切妻屋根が載っている点では和風寄りだが、立面と色彩は必ずしも和風ではない(写真01)。敷地は東西に細長く延びた緩い傾斜地で、西側の方がやや高く、その敷地を囲むように住棟が2列に並んで建っている。隣棟間隔が狭い東端から敷地内に入ると、視界が広がって中庭に出る。芝生に覆われた居心地がよい空間だ。東西の軸線はやや湾曲していて、奥に誘われるように歩を進めるとやがて西端の給水塔が見えてくる。給水塔は団地のランドマークではあるが、それほどシンボリックな扱いではなく、中庭からはチラッと見える程度にとどまるような配置計画になっている(写真02)。

その給水塔は、とっくり型を基本形状としつつ、上部に切れ目を入れて花のように開いている点が大きな特徴だ(写真03)。団地のデザインを収集している筆者も初めて見るデザインである。また、1989年の団地で給水塔を設置したこともかなり珍しい。この時期なら普通は屋上に高架水槽を設けるところだが、おそらく石貝団地の場合、住棟の屋根をフラットではなく切妻にしたため高架水槽が設置できなかったのだろう。もちろん、高架水槽を用いない給水方式も技術的には可能だが、公営住宅ということで堅実な方式が選ばれたものと思われる。

一方、前面道路の向かい側にある集会所は、化粧材だと思うが木造真壁造りの民家風デザインに仕上げられている(写真04)。

石貝団地を設計したのは、集合住宅分野においては幕張ベイタウン(千葉市)や各地で公営住宅の実績があるアルセッド建築研究所だ(リンク1)。ただ、集会所だけは住棟と敷地やデザインが異なるので、もしかしたら別かもしれない(未確認)。同社は東京都と佐賀県有田町に事務所を構え、佐賀県内の公共施設なども手掛けている。代表作は佐賀県立九州陶磁文化館(内田祥哉氏との協働)。

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データ

住所:佐賀県三養基郡みやき町大字白壁2577および2541-20
設計:アルセッド建築研究所
竣工:1989(平成元)年
撮影:2014(平成26)年10月

リンク

  1. アルセッド建築研究所建築集合住宅

作成日:2014/10/22、最終更新日:同左

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