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小笹団地

概要

小笹(おざさ)団地は、福岡県住宅協会(現在の福岡県住宅供給公社)が初めて手掛けた大規模団地である。昭和31〜35年度にかけて合計958戸の住宅が建設された。公団のニュータウンに比べれば小さいが、昭和25年の発足以来、中小規模の団地しか建設していなかった福岡県住宅協会にとっては、4万5千坪の面積に1千戸近い住戸数は経験のない規模であった。
 
敷地は福岡市中央区の丘陵地の南斜面で、右図のようにふたつのエリアに緩やかに分かれている。丘の上には市民の憩いの場である動植物園や南公園があり、傾斜地の下は竣工時には国鉄筑肥線が通っていて小笹駅もあるなど、環境と交通の便に恵まれていた。しかし、市営地下鉄が別ルートで開業したことに伴い、小笹駅を含む筑肥線の博多〜姪浜間は1983(昭和58)年に廃止された。
 
配置計画は南面平行を基本としつつ、角度を振ったり、外部の視線が集まる両エリアの南部にスターハウス等のポイントハウスを配置することで、傾斜地を活かした特徴的な団地景観が生じている。なお、都市計画家の高山英華氏がマスタープランを指導した。

小笹団地 配置図

竣工時の配置図(福岡県住宅復興誌 II から引用)

住棟構成は4階建の中層棟が大部分を占め、板状住棟の他に2タイプのスターハウスや螺旋階段型住棟がある。各地のスターハウスが解体される中、小笹団地は複数のスターハウスが並んでいる状態が見られる数少ない団地のひとつだ。希少なダブルスターハウスも存在する。
 
住戸は賃貸集合住宅以外に一戸建の分譲住宅も供給されたが、ほとんどの分譲住宅は建て替えられたと思われる。ただし、分譲エリアについて筆者は詳しい現地調査を行っていないので、正確なところは分からない。団地中央部の分譲エリアには2004年の時点でメゾネット住棟が建っていたが、その後、一般的なマンションに建て替わっている。

データ

住所:福岡市中央区小笹4・5
竣工:1956〜1960(昭和31〜35)年度
戸数:賃貸901戸+分譲57戸、合計958戸

参考文献

  1. 『福岡県住宅復興誌 II 』福岡県住宅建設促進協議会

 
作成日:2011/10/24、最終更新日:同左

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