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下到津団地 低層棟

概要

下到津団地には2階建の低層棟が2タイプあった。ひとつはフラット住戸、つまり単層の住戸が上下に積み重なった住棟で、このタイプでは2階は片廊下で設計するのが一般的だが、下到津団地の場合は2戸にひとつの割合で直階段を設置していた。住棟に対して階段を斜めに振るというわずかな工夫でずいぶん格好よく見えるものである。ただし、1階の住戸に出入りする際に頭をぶつけるおそれがあるだろう。

筆者は福岡県を中心に各地の古い団地をいくつも巡り歩いたが、この斜め階段は下到津団地でしか見たことがない。全国的には東京都の祖師谷住宅に同じような階段があることを、公団ウォーカーというサイトが報告している。

片廊下型なら1〜2基で済むのに、わざわざコストを掛けて多数の階段を設置した理由が単に格好よさを求めただけだとは考えにくい。片廊下型にしなかった理由としては2点ほど挙げられる。まずは、片廊下だと窓から住戸内部が覗かれやすいので、それを嫌ってプライバシーの確保を優先したのだろう。2番目の理由は、バルコニーを設置するために片廊下を避けたのではないかと筆者は推測している。一般的な集合住宅設計ではバルコニーは南側にのみ設置する場合が多いが、下到津団地ではこの低層棟をはじめ中層の板状住棟やスターハウスも南北両立面にバルコニーが付いている。私が他の団地も見て回ったところでは、このバルコニーの充実ぶりは昭和30年代の福岡県住宅協会の基本方針だったようだ。

2タイプの住棟のもうひとつは住戸が2層になったメゾネットタイプ、つまりテラスハウスである。各戸の玄関に目隠しのルーバー壁が付いている点が特徴だ。当時の先駆者だった住宅公団のテラスハウスにもこのようなデザインは見当たらない。プライバシー確保のためにいろいろと考えた住宅協会の試行錯誤がうかがえる。

筆者が下到津団地の低層棟エリアを訪れた2004年当時、既に住民の退去は完了して住棟は閉鎖されており、やがて解体された。現在は更地のままである。

データ

撮影:2004(平成16)年12月

作成日:2011/10/28、最終更新日:同左

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