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川丈旅館

概要

川丈旅館は福岡市博多区中洲で明治時代から続く旅館である。中洲地区は文字通り河川の中にあって、川全体は那珂(なか)川と、中洲で二分した東側の区間を博多川といい、川丈旅館はこの博多川沿いに建っている。かつて川丈グループはホテルや劇場、映画館など手広く事業を展開していたが(リンク1)、現在はこの川丈旅館や商業ビルの経営に落ち着いている。

現在の建物は大隅弥次郎の設計で1953(昭和28)年に竣工した。この大隅という設計者の詳細は不明。装飾を抑えた外観、柱から切り離された外壁、水平連続窓等、純度の高いモダニズム建築で、スチールサッシをはじめ、おおむね竣工時の姿を保っているようだ。戦後初期のモダニズム建築の現存例としても貴重といえる。塔屋のみ若干装飾性があるということは、屋上を宿泊客に開放していたのだろうか? また、エントランスに柱を露出させたのはピロティの意味を込めているのだろう。平面がどうなっているか分からないが、これらの外観上の特徴から設計者がコルビュジエの「近代建築五原則」を意識していることが読み取れる。

付け加えると、川丈旅館のエントランスの傍らに『五足の靴』の石碑が建っている。『五足の靴』とは与謝野寛、太田正雄、北原白秋、平野万里、吉井勇ら5人の文人が1907(明治40)年に九州各地を旅行して新聞紙上に発表した紀行文(リンク2)。一行は7月31日に川丈旅館に宿泊しており、石碑はこれを記念したものである。

データ

住所:福岡市博多区中洲3-1-18
設計:大隅弥次郎
竣工:1953(昭和28)年
撮影:2006(平成18)年3月

リンク

  1. Y氏は暇人明治時代から続く中洲の旅館 川丈(かわじょう)旅館
  2. 五足の靴 ウィキペディア

作成日:2014/7/27、最終更新日:同左

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