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カールスプラッツ駅 ( 1/2 )
Stadtbahn Station Karlsplatz
ウィーン、オットー ヴァーグナー、1899年
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【01】
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【02】

ヴァーグナーの駅舎建築の傑作

カールスプラッツとはカールス広場という意味です。ここはウィーンの主要な広場のひとつでありながら、実際は求心性に欠ける漠然とした場所だったため、建築家オットー ヴァーグナーは再開発を提案して広場を整備しようとしました。結局、実現したのはこの小さな駅だけでしたが、彼の一連の駅舎建築でもカールスプラッツ駅は別格で、他の駅にはない華やかなデザインがなされています。
 
もうひとつの特別な駅舎、ホーフパヴィリオン ヒーツィング駅は庶民とは無縁の皇帝専用駅でした。カールスプラッツ駅が特別デザインなのは第一にヴァーグナーがカールス広場を重視したためと思いますが、その背後に、社会の主役が王族や貴族から市民に移りつつある状況を両駅が象徴していると読み取ることができるかも知れません。

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向かい合う2棟

駅舎は二棟の同じ建物が向き合う形で建っていて(二棟が向き合う姿は撮り忘れてしまった)、現在は駅としては使われておらず、それぞれ記念館とカフェに活用されています(私が訪れた1月は両方とも休業中)。確かにこのデザインは駅よりもカフェやレストランが似合いそうです。

わずかに扁平したヴォールト

中央のヴォールト(カマボコ)屋根は純粋な半円ではなくわずかに扁平しています。立面のバランスを考えた結果でしょうか。

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【04】

材質

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材質を説明すると、露出した緑色のフレームは鉄骨、白い壁面は大理石パネル、ヴォールト屋根は波板鋼板。大理石と波板鋼板の組み合わせは当時としては大胆な組み合わせです。

塗装で済ませた装飾

壁面の模様(絵柄はヒマワリ)がレリーフではなく塗装という点も、当時ではかなり割り切った方法でしょう。残念ながら一部が消えかかっていますが、そのときは塗り直せばいいわけです。
 
素材や装飾の軽やかな使い方はともすれば凡庸に陥りがちのところを、細部のデザインや色使いによって瀟洒なイメージに仕上がっています。

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【05】

曲線的なデザイン

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扉や柱の脚部などには、ウィーン分離派(ゼツェッシオン)らしい曲線を活かしたデザインが見られます。
名称

カールスプラッツ駅

Stadtbahn Station Karlsplatz

設計者

オットー ヴァーグナー(オットー ワーグナーとも)

Otto Wagner

所在地

ウィーン1区

Karlsplatz, Wien1

用途

竣工時:駅、現在:資料館・飲食店

竣工

1899年

構造・規模

構造:鉄骨造

面積:未確認

交通

鉄道:地下鉄 Karlsplatz 駅下車

マーカー上からカールスプラッツ駅、カール教会


参考文献

  1. 『新建築1991年1月臨時増刊 創刊65周年記念号 建築20世紀PART1』52頁、新建築社
  2. 『世界の建築・街並みガイド5』24頁、エクスナレッジ
  3. 『オットー・ワーグナー』SD選書187、H.Geretsegger + M.Peintner 著、伊藤哲夫+衛藤信一 訳、鹿島出版会

リンク

  1. オットー・ワーグナー ウィキペディア
  2. オンライン・ウィーンガイド ウィーン − 行くなら今! > オットー・ワーグナー設計の駅舎 開館時期・入場料・展示内容等が載っている。

公開日:2003年1月3日、最終更新日:2011年6月11日、撮影時期:2002年1月
カメラ:Nikon COOLPIX 775(Photoshopで修正)

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