【22】
環境面での工夫
市庁舎は階毎に床が南側に少しずつズレており、これは下の階に対して庇の役割を果たしています。また、建物を球状にすることで、一般的な矩形の建物より外壁の表面積は少なくなっています。このような建築的工夫によって、一般的なオフィスビルよりもエネルギー消費量を抑えることができるとされています。
オフィスビルの省エネ対策としては、外壁をルーバーやダブルスキン(二重の被膜)で覆う手法がよく採用されるところですが、そういったオーソドックスなデザインではなく、アクロバティックともいえるデザインをわざわざ選んだ背景には、行政が率先してエコロジーを重視する姿勢を市民や観光客に見せようという一種の啓蒙主義や、ロンドンに新たなシンボルを造ろうという意欲、そしてミレニアム プロジェクトに相応しい先進性を示そうという設計者の意識があるように思います。
【23】
コストに見合った効果があるのか
しかし、これほど手の込んだデザインだと、エネルギー消費を抑えたとしても(=ランニングコストを減らせたとしても)、建設費そのものが高くついて結局採算が合わないのではないか、との疑問は禁じ得ません。実際のエネルギー効率はよくないという指摘もあるようです。
また、外部のメンテナンスはどうやって行うのかも気になります。外から見る限り、窓はFix(はめ殺し)に思えるのですが、とするとこんな変則的な形で外側の拭き掃除が可能なのか、作業用の仮設足場など架けられるのでしょうか。
写真23は市庁舎の足下にあるスリ鉢状のオープンスペース。一般人も利用できるカフェテラスがガラス張りで面しています。
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