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阿佐ヶ谷住宅 前川テラスのデザイン

概要

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いわゆる前川テラスは正式名称を「東-56-TN-3DK」という。公団東京支所における1956年度標準設計のテラスハウスで、間取りは北入り(玄関が北側)の3DKという意味である。同プランは、公団が前川事務所に委託したテラスハウスの標準設計のひとつであり、実際、阿佐ヶ谷住宅の他に鷺宮団地(東京都中野区、1957・昭和32年、現存)と烏山第一団地(東京都世田谷区、1958・昭和33年、一部現存?)にも採用された。もっとも、標準設計といいつつ3団地の前川テラスは微妙に異なっている。公団と前川事務所が協議して現場レベルで適宜変更を加えたようだ。筆者は鷺宮と烏山第一団地は未見。

前川テラスは外壁がコンクリートブロック(CB)造、臥梁(がりょう)と屋根スラブは鉄筋コンクリート(RC)造、1・2階の床は木造と複数の構造が混在しているが、基本的にはCB造である。屋根は、フラットルーフこそモダニズム建築との傾向が強かった当時では少数派の勾配屋根だ。前川テラス以外に昭和30年代の公団テラスハウスで勾配屋根の事例としては、 仁川団地(兵庫県宝塚市)や 小石団地(福岡県北九州市)などがあるが、この2団地が普通の切妻屋根であるのに対して、前川テラスは片方が長い「招き屋根」が採用されている。このタイプは比較的珍しい。

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屋根が1階の軒先まで下がっているおかげで、玄関側の姿はほとんど平屋建に見える。これは圧迫感の軽減や戸建て感覚の醸成、対面する隣接住棟の2階から覗かれる心配がないといった利点がある。その反面、通風・換気の点ではやや疑問が残る。

建物全体から感じるのはプロポーションの良さだ。間延びしがちな妻側(側面)も臥梁で上手く引き締めている。築数十年を経て増改築が施された住戸が少なくないが、オリジナルの部分もある程度は残っていた。このページではその辺を中心に掲載する。


作成日:2013/3/23、最終更新日:同左
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